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家族が「認知症ではないか」と心配しているあなたへ

ぼけても心は生きている
認知症を理解する 新しい時代の始まり

越智さん2004年、日本で「家族の会」が主催して、国際アルツハイマー病協会の国際会議を開きましたが、そこで認知症の人がご自分の思いを発表して以来、日本でも認知症の人が、講演会などで自らの思いを訴える機会が増えてきました。認知症の人は、何もできない、何もわからなくなった人ではありません。
そのことがわかってきて、痴呆という言葉も「認知症」に改められました。ご本人の思いを知ることなしに認知症の理解はすすみません。その声の一部をご紹介しましょう。

語り始めた認知症の人たち

広島県 松本照道さん(55歳)

松本さんわたしは、あたまは病気でも体はとても元気です。重い荷物も運べます。だからすることを言ってもらえば、たいていのことは出来ます。人の役にたつこともできます。
そばでささえてくれる人と笑顔で過ごす時間をたくさんもって、人の役に立ちたいです。
できていたことが どんどんできなくなっていく くやしさや あたらしいことをおぼえることができない なさけなさを 忘れて、明るく暮したいです。
よい薬ができるまで、あきらめずに 明るく くらす 手助けを まわりにいる皆さんに こころから お願いします。

「家族の会」結成25周年記念 認知症を知る講演会(2005.6.5)で 広島県 松本照道さん(55歳)

長崎県 太田正博さん(56歳)
-こんなに話せるのに漢字が書けないんですね-

太田さん

太田「もう名前はかけません。これは突き詰めない。苦しむ必要ないですもの。計算もできない。視野が狭くなりバスの中で頭をぶつけることもある。出来ないことが増え、自分のもっていたものがどんどんなくなる不安。でもへこんでいても仕方ない。できることは何かなと考えたら……。話すことならできる。自分の思いを届けることならまだできる。できることを前向きにやれたらハリがでる。」

「家族の会」世界アルツ八イマーデー 記念講演会(2005.9.3)で 長崎県 太田正博さん(56歳)

(左から)菅崎弘之医師、太田正博さん、上村真紀作業療法士

福岡県 越智 俊二さん(57歳)

もの忘れが始まって10年になります。病気になったことは本当にくやしいです。
なぜと思う気持ちや、自分が自分でなくなる不安もありますが、家族やまわりの方たちのおかげで、いいほうに考えることができています。
これからの望みは、良い薬ができてこの病気が治ったらもう一度働きたい。どんな仕事ができるかわかりません。どんな仕事でもいい。今度は私が働いて、奥さん(妻)を楽にしてあげたい。そして今まで苦労かけた分、お返しをしたい。

国際アルツ八イマー病協会・第20回国際会議(2004.10.17)で 福岡県 越智 俊二さん(57歳)

認知症の人の願い

太田正博さんは、主治医、作業療法士とのトリオで講演会などで話されています。講演会の中で、太田さんの主張を主治医である菅崎先生が解説しています。

太田正博:自分にもまだ何かできそうなことがあるのではないか。何かしたい!このままで終わりたくない。何かしたい。という思いをまだ強く持っています。

菅崎先生:大事なことは、自分で何かやりたいと言う思いです。それをどのような形で実現できるのか。私達はどのような形で実現のお手伝いが出来るのかを考える事が大切です。その手段をもつことが大事なことです。認知症の方には何もできないだろうと頭から決めつけていたら、何もできなくなります。それをはっきり理解しておくことです。

太田正博:私のできることは、精一杯自分でやりたい。「こうですよ、こうしなさい、あ-しなさい」といわれると私はそれをしたくなくなります。

菅崎先生:このことは、サポートする側が気をつけないといけない大事なことです。認知症と言う病気は、人によって障害が出てくるところは変わってきます。私達は手を出しすぎてはいないでしょうか。あまり「あーしなさい。こうしなさい」と言い過ぎますと混乱を起こす場合があります。サポート側としては、混乱しないように、スムーズに事が運ぶように援助する必要があります。「こんな方法があるよ」とか「こうしたらうまく行ったよ」という情報を提供すれば、生活がしやすくなるでしょう。

太田正博:認知症はだれでもなりうる病気、私たちのことを(もののように)扱わないでほしい。一生懸命生きたい気持ちをいっぱい持っている。そんな風に見てほしい。

菅崎先生:認知症の人はこれはできないと決めつけず、生き生きと暮らすためには、どうしたらよいのか、本人の気持ちを理解して、必要としていることをさりげなくサポートすることが大切です。

公益社団法人認知症の人家族の会
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