認知症の人とともにある家族の権利宣言【解説版】

私たちは、2025年6月総会において「認知症の人とともにある家族の権利宣言」をしました。
権利宣言をした理由、背景には以下の思いがあります。皆さんには、是非、このことをご理解いただき、認知症の人への支援とともに、家族の支援への一層のご理解とご協力をお願いいたします。


認知症の人とともにあるということ

誰もが認知症を前に悩む
認知症になる前から備えをすることの必要性

「認知症」は、その症状の特徴(記憶や見当識、判断という人間の尊厳を維持するための機能が障害されやすいということ)、その進行の特性(症状が徐々に進行していくこと)によって、診断を受けた本人も家族も、診断後から戸惑いや不安を持ちますが、中には戸惑いや不安が少ない人もいます。それは、診断以前からの認知症に関する知識と理解があり認知症への備えができている人です。そして、たとえ認知症への備えが足りなくても、診断早期(可能であれば診断前から)から認知症に対する正しい知識を得て理解をしていくこと、診断後に認知症になったことを悲観しすぎないことが大切です。認知症に上手に対応していくには、認知症とともに生きている同志(認知症の人とその家族等)に早期に出会い、その戸惑いや不安への効果的な対応方法を知ることや支え合うこと(ピアサポートが効果的です。
戸惑いや不安をともに乗り越えながら前向きに生きている人がたくさんいます。

しかし、これらの認知症への理解と対応をしていても、認知症の人は徐々に社会生活や人間関係に支障をきたしやすくなりそのことに悩み、周囲の人々や家族は認知症の人への適切な対応に悩みます。

認知症になってもできることを続けるともに悩み考える支え合うことの必要性

最近は、認知症の診断を受けるタイミングが早くなっており、認知症の診断を受けた時点では多くの認知症の人は身の回りのことを自分でできますし、少しの工夫と手助けがあれば仕事を続けることができます。それにもかかわらず、「認知症の診断を受けると介護が必要になる」という誤った認識を持つ人は少なくありません。
認知機能の低下の自覚は、日時や場所の混乱、段取り・手順を忘れることなどが多いですが、この段階では「介護」ではなく「生活の工夫を一緒に考える支援・手助け」が必要です。排泄や移動、食事、生活リズムの管理などの日常生活上の世話、いわゆる介護(療養上の世話)はすぐに必要になるわけではありません。ともに悩み考える支援が必要です。

日本認知症本人ワーキンググループによる「認知症とともに生きる希望宣言 一足先に認知症になった私たちからすべての人たちへ」

認知症の人がつどい、全国的な活動をしている一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループは、2018年に「認知症とともに生きる希望宣言」を発出しました。これは、認知症基本法の制定の大きな力となりました。
前文に「私たちは、認知症とともに暮らしています。日々いろんなことが起き、不安や心配はつきませんが、いろいろな可能性があることも見えてきました。一度きりしかない自分の人生をあきらめないで、希望を持って自分らしく暮らし続けたい。次に続く人たちが、暗いトンネルに迷い込まずにもっと楽に、いい人生を送ってほしい。」とあり、5項目(資料1
を宣言しています。
この宣言は、認知症があっても、自分も希望を持って暮らしていこうという人、そしてより良い社会を一緒につくっていこうという人の輪が広がり、認知症の人が生きやすい社会をつくっていくことを願うものです。

認知症の人の家族が認知症の人とともに生きていくための社会への宣言の必要性

このような認知症の人自身が生きやすい社会を作っていこうとするとき、ともに生き、暮らしていく家族も、人生をあきらめず、希望をもって自分らしく暮らし続けていくことが必要です。家族がお互いの幸せを願うように、誰かひとりにかかる負担や犠牲を強いれば、家族関係が破綻し、家族みんなが幸せに生きられなくなります。
また、認知症は誰にでも起こりうることであり、支え合う関係の中で、家族の中の誰かが認知症をもつことも、支えている家族が認知症をもつこともあります。そのため、認知症の人も、家族も、みんなが幸せでいられるように、認知症基本法が施行されたことを契機に、認知症の人たちの希望宣言に歩調を合わせて、認知症の人とともにある家族の権利宣言をすることが必要だと考えました。
ここに挙げている権利は、日本国憲法の下にある人権が基本にあります。家族は、認知症の人とともにいる身近な人、伴奏者、パートナーとして必要な場面で認知症の人の思いの代弁を求められます。しかし、多くの家族は認知症に直面することが「初めて」であり、どのように対応していけばよいのかわかりません。また、経験があっても、認知症の症状は一人
ひとり異なり、認知症とともにあることは難しいことです。それゆえ、権利を宣言することを通して、家族が個人としての尊厳を保ち、認知症の人とともに安心して生きていけるよう、社会からの必要な支援が求められています。
私たちは、認知症基本法の謳う共生社会を実現していくために認知症の人とともにある家族の思いにも寄り添っていくこと、家族支援を充実していくことが、認知症の人の生活を豊かにしていくことであることを社会の共通理解として持っていただけるよう願い、ここに宣言をしたいと思います。


注 認知症の人とその家族とは
注1 認知症の当事者とは
認知症に悩む認知症の人とその家族であると考えます。
注2 認知症の人とは
ここでは、認知症の人を認知機能の状態や診断の有無を問わず、認知機能の低下状態に悩む人として考えていきます。認知症の人とは本来、認知症と診断された人のことです。しかし、近年の疾患修飾薬の登場によって前認知症状態や軽度認知障害の診断を受ける人がおり、これらの人は本来の認知症の人ではありませんが、認知機能の低下に悩み、不安を持つ人であると言えます。認知症とは様々な疾患の症候群であり、その症状、進行などは疾患の特徴によってさまざまであると同時に、個人によっても症状や進行は一様ではなく、ひとくくりにできないところから、誰もが認知症を前に悩みます。
注3 家族とは
私たちは、家族とは、同居の如何にかかわらず、血縁・婚姻関係にある人、あるいは、血縁・婚姻関係になくても深い関係性を持ち家族であると認識している人たちであると考えます。家族とは、2人以上の人で構成する最も小さな社会組織です。民法上では「親族」とは「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」(民法第725条)であり、「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」(民法第730条)とありますが、家族の明確な定義はありません。血縁・婚姻関係にある者同士は、その歴史、過去の関係性のあり方によってさまざまな影響を与え合います。扶け合いとは、扶養や扶助など世話をする、支えるという意味合いで使われます。
実際にこの親族の扶け合いは、その状況も、そのことへの思いも、それぞれの関係によってさまざまです。つながる縁の中で断ち切り難い関係をもつのも家族です。

認知症の人とともにある家族の権利と必要な支援


「認知症とともにある家族の権利宣言」により、認知症の人と家族がそれぞれの人生を、希望をもって、とも
に生きていくための5項目の内容と、必要な家族支援を提案します。

*権利 ◆必要な支援

*介護をしていても、家族が一人の人として自分の人生を生きていく権利 *権利

支援を求めている当事者は認知症の人だけではなく、家族も支援を求める当事者です。認知症の人に「何をどうすればいいかわからない」戸惑いの段階から、家族自身が「支援を求めてもいい」ことを認識しましょう。介護をしても家族の生活や生命を守れなければ意味がありません。また、望む仕事を得て、生活にゆとりがもてる、趣味や余暇を楽しめる、自分の人生をあきらめない権利があります。

*家族による介護は必ずしも義務ではなく、「する・できない」どちらの意思も尊重される権利 *権利

家族として世話をすること、面倒を看ること、介護することは扶けあいとして必要なことです。しかし、家族として「できない」こともあります。介護は強制されるものではありません。家族自身の「やりたい」思い、意思も含めて尊重されるべきです。家族の歴史・認知症の人との関係性や家族自身の生き方を踏まえ、認知症の人との関わり方の家族の意思は尊重される権利があります。

◆社会が認知症の人とともにある家族の状況を理解し、受け止め、柔軟な対応をしていくこと ◆必要な支援

家族には関係性や課題などの多様な状況があり、関与したい気持ちもさまざまであることを理解し、多様性を受け止め、社会保障として支えていくこと、相談場所を充実し家族の個々の状況に沿った認知症の人への対応を家族の意思で選択できるように支援していく必要があります。

*認知症の人とともに生きていく生活が安心して維持できる権利 *権利

現在の介護保険サービスだけでは、当たり前の職業生活を送ること、これまで通りの自営業を営むことが困難となる家族がいます。介護離職・介護転職・介護休暇、就労形態の変更による収入減の不安定な状況など経済的な諸問題は、生活の不安にとどまらず、追い詰められ孤立する懸念、生命の危機、その後の家族の人生の選択肢を閉ざしてしまうこともあります。家族が介護役割を一時期担っても、その先の未来が閉ざされることのない権利があります。

◆介護を家族だけに負わせない社会保障制度の充実 ◆必要な支援

介護を社会で支え合う「介護の社会化」の仕組みが介護保険制度であり、認知症の人と家族の人権を守る仕組みとして充実させ、活用していく必要があります。

◆介護離職防止(就労継続)のための施策の充実 ◆離職家族の再就職に向けた就労支援 ◆必要な支援

育児・介護休業法の改定による介護休業の延長や介護休業給付金制度の延長などによる経済的支援の充実、自営業においても介護休業保障が必要です。また、企業内での介護に対する理解と産業医を含めた支援体制づくりの推進を図るための施策の整備が必要です。

*家族の多様な状況を理解した上で、個々に合わせた支援を受ける権利 *権利

家族の“カタチ”は多様化しており、介護の状況も老々介護、複数介護、若年性認知症介護、シングル介護、仕事と介護の両立、子育てと介護、子ども・若者による介護、親の介護と障害をもつ兄弟姉妹の介護、病気を持ちながらの介護など様々です。画一的な支援では対応が難しく、個別の家族個別の状況に合わせた支援を受ける権利があります。

*家族が健康危機に陥り生活に支障が生じたときに、切れ目なく必要な支援が提供される権利 *権利

認知症の人とともに暮らす家族が健康危機に陥ったとき、世帯単位での生命の危機に発展する危険性があります。速やかに切れ目なく、支援が提供される必要があります。感染症・医療的支援の有無や認知機能の状態により治療や介護の継続に空白が生じないよう、認知症の人にも家族にも支援が提供される権利があります。自治体は、そのための医療や介護施設の確保、代替策の備えをする必要があります。

*認知症の人への医療・介護の質を保証していくこと *権利

認知症の人と家族が、それぞれの人生を、希望をもってともに生きるために、医療と介護が連携し、機能低下を予防し、認知症の人の持てる力を活かし、不必要な抑制や制限をすることのない、安心できる支援が、全国どこにいても受けられる権利があります。

◆家族が適切な介護を選択するための情報提供、選択の自由さの保障 ◆必要な支援

介護をする中で、認知症の人の意思の確認が困難な場合、家族が様々な決定をしていかなくてはいけない場面に遭遇します。家族が適切な選択をするためには、選択のための情報を提供すること、選択枝を複数提示した上で選択の自由の保障をしていくことが必要です。

◆家族のためのケアプランの作成、それに基づいた家族への支援 ◆必要な支援

家族の意見を偏見なく受け止め、個別に異なる家族の状況や困難を丁寧に把握(アセスメント・分析・評価)した上で、支援計画(ケアプラン)には家族個別の支援項目を含めることが求められます。本人への支援とは別に家族自身への支援を充実すること、家族の状況にあわせたSOSの仕組みがあることが必要です。

*家族支援の当事者性を社会が認識し、適時適切な支援を受けられる権利 *権利

家族の権利が認知症の権利とともに守られていくためには、認知症の人への支援にとって家族への支援も重要であることを社会が認識する必要があります。専門職も行政関係者も地域住民も社会の一人一人が家族の状況を理解することで、情報や支援のネットワークから取り残され社会から孤立する家族をなくす必要があります。

◆まずは、ただ家族の話を聞くこと ◆認知症に対する偏見の払拭 正しい理解の普及 ◆必要な支援

家族の思いを自らの価値観にとらわれず話を聞くことが、第一の家族支援であることを理解する必要があります。そして、一般市民、地域全体の認知症の正しい理解と、認知症への偏ったイメージを払拭することが、市民が認知症に直面したときの備えとなり、今後につながる支援となります。また、専門職や市民が自分事として、認知症の人の支援だけではなく、何が家族支援となるのかを理解すること、さらにはそれを適切に実践することが求められます。

◆認知症の人と家族を社会で支え合うしくみをつくる ◆必要な支援

認知症があることに負い目を持たずに、認知症があっても今まで通り安心した暮らしを続けいくことのできる地域を作っていく必要があります。認知症予防や介護予防に偏重しない、認知症や障がいがあっても、認知症の人も家族も社会に支えられていることを実感し、一人じゃないと思える仕組みを作っていく必要があります。

*経験を社会の中で活かしていく権利 *権利

認知症の人とともにある家族の経験は、専門職であっても専門性や知見とは全く異なる経験となります。そのため、専門職に限らずそうした経験を社会で伝えあい、活かす場があることが重要です。

◆ピアサポートによる支援の充実・学習の場(家族支援センターの設置等)の充実 ◆必要な支援

認知症の人とのかかわりの経験をもつ家族や認知症の人が同じ悩みをもつ者同士、本人同士、家族同士で支え合う(ピアサポート)場を地域に充実させていくことが必要です。認知症や介護について学び合う場を全国各地に広げる必要があります。

◆家族を介護した経験が、その後に社会に生かされる仕組みづくり ◆必要な支援

全国にピアサポートによる支援を重視した「家族支援センター」の設置を求めます。介護をしている家族が身を賭して尽くし、磨いた自分自身の介護スキルを、看取り後(介護中も)の介護経験を含めて地域の中で活かされる仕組みをつくる必要があります。認知症とともにある経験が本人とともに家族の人生の糧となるような支援を求めます。


参考1

認知症とともに生きる希望宣言
一足先に認知症になった私たちからすべての人たちへ

2018年 一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ「認知症とともに生きる希望宣言」の内容 https://www.jdwg.org/

私たちは、認知症とともに暮らしています。
日々いろんなことが起き、不安や心配はつきませんが、いろいろな可能性があることも見えてきました。
一度きりしかない自分の人生をあきらめないで、希望を持って自分らしく暮らし続けたい。
次に続く人たちが、暗いトンネルに迷い込まずにもっと楽に、いい人生を送ってほしい。
私たちは、自分たちの体験と意志をもとに「認知症とともに生きる希望宣言」をします。
この宣言をスタートに、自分も希望を持って暮らしていこうという人、そしてより良い社会を一緒につくっていこうという人の輪が広がることを願っています。

認知症とともに生きる希望宣言< 趣意>

  1. 自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
    * 「認知症になったらおしまい」では決してなく、よりよく生きていける可能性を私たちは無数にもっています。
    * 起きている変化から目をそらさず、認知症に向き合いながら、自分なりに考え、いいひと時、いい一日、いい人生を生きていきます。
  2. 自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
    * できなくなったことよりできること、やりたいことを大切にしていきます。
    * 自分が大切にしたいことを自分なりに選び、自分らしく暮らしていきます。
    * 新しいことを覚えたり、初めてのこともやってみます。
    * 行きたいところに出かけ、自然やまちの中で心豊かに暮らしていきます。
    * 働いて稼いだり、地域や次世代の人のために役立つことにもトライします。
  3. 私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
    * 落ち込むこともありますが、仲間に会って勇気と自信を蘇らせます。
    * 仲間と本音で語り合い、知恵を出し合い、暮らしの工夫を続けていきます。
  4. 自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
    * 自分なりに生きてきて、これからも、最期まで、自分が人生の主人公です。
    * 自分でしかわからないこと、暮らしにくさや必要なことは何か、どう生きていきたいかを、自分なりに伝え続けていきます。
    * 私たちが伝えたいことの真意を聴き、一緒に考えながら、未来に向けてともに歩んでくれる人たち( 知り合いや地域にいる人、医療や介護・福祉やいろいろな専門の人) を身近なまちの中で見つけます。
    * 仲間や味方とともに私が前向きに元気になることで、家族の心配や負担を小さくし、お互いの生活を守りながらよりよく暮らしていきます。
  5. 認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを、一緒につくっていきます
    * 認知症とともに暮らしているからこそ気づけたことや日々工夫していることを、他の人や社会に役立ててもらうために、伝えていきます。
    * 自分が暮らすまちが暮らしやすいか、人としてあたり前のことが守られているか、私たち本人が確かめ、よりよくなるための提案や活動を一緒にしていきます。
    * どこで暮らしていても、わがまちが年々よりよく変わっていることを確かめながら、安心して、希望を持って暮らし続けていきます。

参考2

 認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書(2019年版)

2019年3月28日 公益社団法人認知症の人と家族の会

2019年に発出した「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書」の項目と、今回の「認知症とともにある家族の権利宣言」5項目の関連項目を参考として示します。

認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書(2019年版)→https://www.alzheimer.or.jp/?p=14973

1. 家族一人ひとりの尊厳と人権が尊重されること 家族も認知症の人とともに一人の人として尊厳が守られ、自分の人生をあきらめない権利があります。それぞれの立場や気持ちが尊重され、大切にされる権利があります。

介護家族の個人としての権利を保障すること

  1. )介護家族支援に関する法整備に努めること
  2. )介護家族と認知症の人の双方が、等しく権利が尊重されること。そのために必要な支援が十分に得られるようにすること
  3. )その支援により、介護家族が介護による不利益を被ることなく、仕事・余暇・教育・社会参加の機会が保障された「生活の質(QOL)」を保てるようにすること
  4. )介護サービスの目的を本人の機能向上を目指すことに限定せず、レスパイトケアも目的として明確に位置付け、介護家族の介護負担、疲れを軽減するサービスの充実を図ること
  5. )介護休業・介護休暇制度の一層の充実を図るとともに、制度の周知や事業所への働きかけを積極的に行い、取得しやすい環境を作ること
  6. )介護家族として最も対応が困難である認知症初期から中期の人への対応の充実を図ること
  7. )必要な時には、施設入居が可能となる仕組みづくりをすること
  8. )介護負担軽減ができるショートステイは、より認知症の人の機能維持・向上が図られる支援ができるように充実し、訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護における認知症の人の受け入れと対応の拡充を図ること
2. 家族がともに安心して暮らせる社会の実現を保障すること 家族が認知症の人とともに安心して暮らせる環境が必要です。家族は、それぞれ仕事を選び、続けていく自由、生活を維持していくために経済的な支援を受ける権利があります。

経済的支援について

  1. )要介護度だけではなく、環境や介護力を勘案し、支給限度額を超えるサービス利用にも介護給付を認めること
  2. )在宅介護を担っている介護家族等の苦労が、介護の社会的費用の軽減に少なからず貢献していることを踏まえ、必要なサービスが支給限度額を超えた分を「介護家族枠」として介護給付の対象とすること
  3. )在宅介護において、経済的理由で支給限度額内のサービスすら利用できない場合、財政的な支援策を講ずること
  4. )入居施設の料金体系の中に老齢基礎年金のみでも利用できる仕組みをつくること
  5. )介護保険サービスのすべての利用料を所得控除の対象にすること
  6. 認知症の人が関係する事故に対する保険・補償制度を、地方自治体や民間企業任せにせず、国の制度として実施すること
  7. )遠距離介護に要する交通費負担に対する軽減策が、すべての交通機関で実施されるよう、その一部を公費で負担するなどして積極的に働きかけること
  8. )認知症と診断された人が受診の際使用するタクシー料金に割引制度を設けること
4. 社会全体で支え合うこと 認知症の人とともにある家族の状況を、社会は正しく理解し、社会全体でケアを担っていくことを私たちは求めます。

当事者組織の活動への支援について

  1. )「認知症の人と家族の会」等の当事者組織を不可欠の社会資源として位置付け、活動に対する財政的、実務的な支援を強化すること
  2. )新オレンジプランのガイドラインにある「早期診断後に地域の当事者組織の連絡先を紹介する」ために、医療・保健・福祉の窓口に当事者組織の資料を常置し、公的な責任においてこのガイドラインの実現を図ること

※認知症の人とともにある家族の権利宣言【解説版】についてのお問い合わせは、公益社団法人認知症の人と家族の会本部事務局まで。


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