認知症の人とともにある家族の権利宣言
公益社団法人認知症の人と家族の会では、2025年6月7日、総会において「認知症の人とともにある家族の権利宣言」を発表しました。
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2025年6月7日
公益社団法人 認知症の人と家族の会
私たちは、認知症になったとしても、介護する立場になったとしても、人としての尊厳が守られ、日々を穏やかに暮らし続けていきたい、という思いで1980年から活動を続けてきました。
「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(認知症基本法)ができ、私たちはいっそう、認知症の人、その家族や大切な人々が支え合いながら、人として生きがいを感じ、充実した毎日を過ごせるような安心して暮らせる社会の実現を求めていきたいと願っています。
認知症基本法は、私たちが長い間望んできたものであり、これにより認知症の人と家族への支援が充実していくことを期待しています。しかしながら、両輪となるべき家族への支援は、本人支援とは大きな隔たりを感じざるを得ません。認知症の人への支援と同様に、家族への支援が充実していく必要があります。
認知症の人と家族はそれぞれに自分で決める権利や、あらゆることに参加する権利を持っています。認知症の人と家族の人権が侵害されるような環境・社会にならないよう、そして誰もが人としての尊厳と権利が保障され、健康や幸福を追求できるよう、それらを支える制度や経済的支援、同じ経験を有する者同士が支え合う支援(ピアサポート)の推進が不可欠です。
そこで私たちは、家族への支援が充実することを願い「認知症の人とともにある家族の権利宣言」をつくりました。ここに、私たちの思いを全ての人に知っていただけるよう宣言します。
1. 家族一人ひとりの尊厳と人権が尊重されること
家族も認知症の人とともに一人の人として尊厳が守られ、自分の人生をあきらめない権利があります。それぞれの立場や気持ちが尊重され、大切にされる権利があります。
2. 家族がともに安心して暮らせる社会の実現を保障すること
家族が認知症の人とともに安心して暮らせる環境が必要です。家族は、それぞれ仕事を選び、続けていく自由、生活を維持していくために経済的な支援を受ける権利があります。
3. 家族が必要な支援を受けられること
家族一人ひとりの状況に合ったサポートとして、必要なときに必要な支援を受ける権利があります。
4. 社会全体で支え合うこと
認知症の人とともにある家族の状況を、社会は正しく理解し、社会全体でケアを担っていくことを私たちは求めます。
5. 家族の経験が社会で活かされること
同じ経験をした者同士の支え合い(ピアサポート)は、社会全体としても大きな力になります。制度だけでは足りないところを補いあえる、認知症の人や家族の経験と知恵が活かされる社会をつくっていくことを望みます。