どうするつもりか介護保険制度=「改正」の動きレポート#47『審議報告案編』 【介護給付費分科会】

介護保険・社会保障専門委員会

はじめに ~令和6年度介護報酬改定に関する審議報告案について~

 12月18日(月)9:30から12:00まで、九段会館テラス コンファレンス&バンケットバンケットホール鳳凰参集及びWEBによるハイフレックス形式で開催された、厚生労働省社会保障審議会第236回介護給付費分科会(「分科会」)は、前回第235回「分科会」において、各委員より出された意見や加筆要望をもとに事務局(厚生労働省老健局)が修正した令和6年度介護報酬改定に関する審議報告案の説明及び審議がなされました。
 前回第235回「分科会」において、委員として当会より出席している鎌田松代代表理事が加筆等を要望し、加筆修正が加えられた第236回「分科会」資料令和6年度介護報酬改定に関する審議報告案についてご紹介します。

【資料】
【資料2】令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案)

【第235回「分科会」鎌田松代代表理事による意見】
 7ページの良質なサービスの効率の提供に向けた働きやすい職場作りの、特に訪問介護などのサービスでは・・・・の最後に「訪問介護の人材を充実させるための取り組みを喫緊の課題として対応を検討する」と追記することを要望します。また、訪問介護の人手不足の緊迫性が、この文章全体の中からは受け取れないと思いましたので、再度の検討をお願いできればと思います。
<第235回「分科会」対象文章>
○ 特に訪問介護などのサービスでは人員不足が顕著であり、これまで処遇改善 に関する累次の取組を行ってきた。令和4年 10 月の臨時介護報酬改定において はベースアップ等支援加算を、また令和5年度補正予算においては令和5年の 賃上げの状況を踏まえ緊急支援補助金を創設した。あわせて、多様な人材の確 保・育成、離職防止・定着促進、生産性向上、介護職の魅力向上など総合的な 人材確保対策を講じてきており、引き続き、処遇改善措置の効果の把握ととも に、これらの取組の継続が求められる。
<第236回「分科会」対象文章>
【資料2】令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案) 9ページ目

〇 特に訪問介護などのサービスでは人員不足が顕著であり、賃上げをはじめとする人材確保への対応は喫緊の課題である。これまで、処遇改善に関する累次の取組を行っており、令和4年 10 月の臨時介護報酬改定においてはベースアップ等支援加算を、また令和5年度補正予算においては令和5年の賃上げの状況を踏まえ緊急支援補助金を創設した。あわせて、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進、生産性向上、介護職の魅力向上など総合的な人材確保対策を講じてきており、引き続き、処遇改善措置の効果の把握とともに、これらの取組の継続が求められる。
 
=注釈=
第235回「分科会」において、当会鎌田代表理事が発言した要望により、赤字部分が加筆修正されました。



【第235回「分科会」鎌田松代代表理事による意見】
 24ページの高齢者虐待防止、安全性の確保等の取組の推進で、基本報酬減算というペナルティを課すだけでは本質的な虐待防止を目指すことにはならないのではないでしょうか?特に介護職員の虐待には業務上のストレスが影響していることも多いため、介護職員へのカウンセリング、あるいは介護職員への相談支援などの対応が現在も行われていると思いますけれども、更なる充実というような文言も入れていただければと思います。
<第235回「分科会」対象文章>
【資料2】令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案)26ページ目
①高齢者虐待防止の推進
【全サービス(居宅療養管理指導★、福祉用具貸与★、特定福祉用具販売★を除く)】
利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、全ての介護サービ ス事業者(居宅療養管理指導、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売を除く。)につい て、虐待の発生又はその再発を防止するための措置(虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬を減算する。その際、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売については、そのサービス提供の態様が他サービスと異なること等を踏まえ、3 年間の経過措置期間を設けることとする。 また、国の補助により都道府県が実施している事業において、ハラスメント等の ストレス対策に関する研修を実施できることや、同事業による相談窓口について、 高齢者本人とその家族だけでなく介護職員等も利用できることを明確化する。
<第236回「分科会」対象文章>
①高齢者虐待防止の推進

【全サービス(居宅療養管理指導★、特定福祉用具販売★を除く)】
利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、全ての介護サービス事業者(居宅療養管理指導及び特定福祉用具販売を除く。)について、虐待の発生又はその再発を防止するための措置(虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬を減算する。その際、福祉用具貸与については、そのサービス提供の態様が他サービスと異なること等を踏まえ、3 年間の経過措置期間を設けることとする。
また、施設におけるストレス対策を含む高齢者虐待防止に向けた取組例を収集 し、周知を図るほか、国の補助により都道府県が実施している事業において、ハラスメント等のストレス対策に関する研修を実施できることや、同事業による相談窓口について、高齢者本人とその家族だけでなく介護職員等も利用できることを明確化するなど、高齢者虐待防止に向けた施策の充実を図る。
=注釈=
第235回「分科会」において、当会鎌田代表理事が発言した要望により、赤字部分が加筆修正されました。




【第235回「分科会」鎌田松代代表理事による意見】
26ページの福祉用具の両カッコ8の福祉用具貸与・特定福祉用具販売の見直しについて、「利用者に対して選択のメリットとデメリットを理解できるように」を説明文章の前に入れていただくことを希望します。
<第235回「分科会」対象文章>
【資料2】令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案)29ページ目
一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制の導入
【福祉用具貸与★、特定福祉用具販売★】
利用者の過度な負担を軽減しつつ、制度の持続可能性の確保を図るとともに、福 祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、一部の福祉用具に ついて貸与と販売の選択制を導入する。具体的には、要介護度に関係なく給付が可 能な福祉用具のうち、比較的廉価で、購入した方が利用者の負担が抑えられる者の 割合が相対的に高い、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえ を除く)及び多点杖を対象とする。 福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、貸与と販売の 選択制の導入に伴い、以下の対応を行う。
ア 選択制の対象福祉用具の提供に当たっては、福祉用具専門相談員又は介護支 援専門員が、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択で きることについて、利用者等に対し、十分説明を行うこととするとともに、利 用者の選択に当たって必要な情報を提供すること及び医師や専門職の意見、利用者の身体状況等を踏まえ、提案を行うこととする。
<第236回「分科会」対象文章>
①一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制の導入

【福祉用具貸与★、特定福祉用具販売★】
利用者の過度な負担を軽減しつつ、制度の持続可能性の確保を図るとともに、福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、一部の福祉用具について貸与と販売の選択制を導入する。具体的には、要介護度に関係なく給付が可能な福祉用具のうち、比較的廉価で、購入した方が利用者の負担が抑えられる者の割合が相対的に高い、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)及び多点杖を対象とする。
福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、貸与と販売の選択制の導入に伴い、以下の対応を行う。
ア 選択制の対象福祉用具の提供に当たっては、福祉用具専門相談員又は介護支援専門員が、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることについて、利用者等に対し、メリット及びデメリットを含め十分説明を行うこととするとともに、利用者の選択に当たって必要な情報を提供する。
=注釈=
第235回「分科会」において、当会鎌田代表理事が発言した要望により、赤字部分が加筆修正されました。



当会から委員として「分科会」に出席している鎌田松代代表理事の意見(要望)により、以上3つの加筆修正が行われました。これからの「分科会」においても会員の皆様の利益を念頭に影響力をもって意見を述べていただきたいと思っております。

意見・質問がございましたらお寄せください。

(まとめ・文責  介護保険社会保障専門委員会 志田信也)

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