鎌田松代代表の日日是好日

<2024年4月号掲載>鎌田松代代表が、活動の中での出来事をお届けします。

認知症に希望をひらく、希望大使・応援大使・オレンジ大使・すまいるリーダ

1.はじめに

2019 年6 月に認知症施策推進大綱が発表されました。具体的な施策の中に「認知症の人本人からの発信の機会が増えるよう、地域で暮らす本人とともに普及啓発に取り組む。…『認知症本人大使(希望宣言大使(仮称))』を創設すること等により、本人等による普及活動を支援する」があります。2019 年度に全国規模の希望大使5 名が任命され、現在21 都道府県で69 名(2024 年2 月)の地域の希望大使が本人発信を続けています。名称も上記のように希望大使だけでなくネーミングに工夫がされています。

2019 年度から始まった希望大使の活躍で認知症の人は「何もできない」「わからない」の認知症観を変える波紋が広がっていることを実感しています。

国の「認知症地域版希望大使」調査研究事業や、京都府認知症応援大使の活躍などからは、当事者の声が社会に届くことで社会が大きく変化していました。

2.調査研究事業について

調査内容のテーマは「認知症地域版希望大使の普及促進と活動強化に関する調査研究事業」で厚労省の「令和5年度老人保健事業推進費など補助金(老人保健健康増進等事業分)事業」です。

この調査内容は都道府県・市町村の希望大使担当者に現状や担当者の意識、また希望大使とその支援者へのインタビューです。私が関心を持った調査項目は未設置都道府県で「事業のすすめ方、候補者の見つけ方や適任者」で設置都道府県より高い割合でした。また設置・未設置ともに高い項目は「今後の活動の展開のあり方について検討が必要」でした。

担当者の意識などでは「若年性認知症の方に望む支援を聞いたら『特に何も困っていないので大丈夫です。困ったら自分で言います』と言われ、自分たちが支援しなければならないという考えに囚われていたことに気づいた」が印象的でした。

本人・支援者へのインタビューでは秋田県の神原繁行さんは「早期に相談・受診・診断を受けることで、少しでも長く今までどおり地域生活を送ることができることを自分の体験を通じて伝えたい」と。神原さんは診断後も病院で看護師として働いています。

認知症の人と話すことで周囲の人は、認知症の人ではなく一人の人として接することの大事を体感していました。

3.認知症の人の発信が認知症に希望を

 私の住む京都では6 名の京都府認知症応援大使が活動しています。当会の本人・若年専門委員会の委員でもある下坂厚さんは、京都だけでなく講演活動で全国を飛び回わり、京都府支部のオンライン本人のつどい「IRODORI 彩」(本誌P6掲載)を運営しています。「丹野智文さんと出会って自分も人前で話せるようになった。次は自分の話を聞いた方がやはり前向きになれ人前で話をされるようになった。

こういうリレーが全国で続いている…」「認知症にはなりたくない」の認知症観が「認知症になっても希望がある」に確実に変容していると感じています。

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