1980年結成。全国47都道府県に支部があり、1万1千人の会員が励ましあい、助け合って「認知症があっても安心して暮らせる社会」を目指しています。

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更新:2017年6月22日
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認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書2016年版

 

蒲原厚生労働省老健局長(左)に要望書を提出する、田部井副代表(右)。

蒲原厚生労働省老健局長(左)に要望書を提出する、田部井副代表(右)。

「家族の会」は、認知症に対する施策が皆無の時代から介護の社会化を要望し、介護保険の誕生を歓迎し、その後も制度の充実に取り組んできました。

介護の社会化の象徴である同制度の後退を防ぎ、安心して暮らせるための活動の一環で、8月31日に厚生労働大臣あて「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書2016年版」(9事項58項目の要望書)を申し入れます。

「家族の会」では、2015年末から各支部を通じて2015年4月からの介護保険制度、介護報酬改定の影響について利用者、家族への影響調査アンケートを実施し、その結果、費用負担やサービス利用について重大な影響が起こっていることが明らかになりました。

NHKからの取材を受ける、鈴木常任理事。

NHKからの取材を受ける、鈴木常任理事。

これらは、「家族の会」が2014年の法律改定にあたり、初めての署名(「安心できる介護保険制度を求める署名」/8万7千筆)に取り組んで反対したことが正当であったことを証明するものでもありました。

そのため、「家族の会」は「2015年の介護保険制度改定の撤回を求める要望書」を2016年4月22日厚生労働大臣あてに提出しました。

2015年からの介護保険制度改定で費用負担、サービス抑制が進み、今、介護保険部会でさらなる負担増などの検討がはじまっています。

これを受けて、2011年4月に申し入れた、介護保険に限らず医療やまちづくりを含め総合的な要望「認知症の人と家族も安心して暮らせるための要望書」を2016年版としてまとめたものが本要望書です。

 

要望内容についての解説付きのものについては、次のPDFをご覧下さい。

認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書2016年版(解説付き)(500KB)PDFでご覧いただけます。

 

                               2016年8月31日

厚生労働大臣 塩崎 恭久 様

                       公益社団法人 認知症の人と家族の会

                                                        代表理事 髙 見 国 生

 

  認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書(2016年版)

 

認知症の人と家族の会は、2010年6月に発表した提言において、介護保険制度を、今後もさらに充実発展させるべき制度と考え、その進むべき方向を次の通り示しました。

1.必要なサービスを、誰でも、いつでも、どこでも利用できる制度

2.わかりやすい簡潔な制度

3.財源を制度の充実のために有効に活用する制度

4.必要な財源を、政府、自治体が公的な責任において確保する制度

しかし、残念ながら介護保険を含む日本の社会保障の歩みは、私たちの願う方向に進んでいるようには思えません。「家族の会」では、2011年4月、厚生労働大臣あてに提出した「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書」をはじめ、時機をとらえた要望、アピールを出してこの動きに警鐘を鳴らしてきました。特に2015年実施の改定に対しては、「生活が立ちゆかない」との悲痛な声が相次いでいることから、今年の4月に「撤回」を求める要望書を提出したところです。しかしそれにも拘わらず、財務省からはさらなる負担増、給付抑制案が示されており、今、介護保険制度は重大な岐路に立たされています。

こうした現状に鑑み、2011年4月の要望事項のすべてについて点検し、実現されたものについては国の一定の努力を評価して削除し、今日の状況を踏まえた新たな項目を追加した「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書(2016年版)」を、ここにあらためて提出するものです。誠意を持って実現のために取り組んでいただくように要望します。

 

 

Ⅰ 介護予防・日常生活支援総合事業に関する要望

 

1.介護サービスを介護保険給付サービスとして一本化すること

2.だれにも要介護認定を受ける権利を保障し、相談窓口での基本チェックリストのみで総合事業対象者と判断しないこと

3.総合事業の実施後も、利用するサービスは、保険者の判断によるのではなく、利用者が選択できるものとすること

 

Ⅱ 制度の抜本的改善のための要望

 

1.認知症と診断された人の早期の対応について

早期の認知症の人が一刻も早く専門職や専門機関につながるシステムを早急に構築すること

例えば、イギリスのリンクワーカー制度のように、診断後の心身のケア・生活支援等の

早期サポート体制を確立すること

2.要介護認定について

要介護認定の廃止を含め抜本的な改善を図るための検討会議を発足させること

(改善が実現するまでの経過的な要望)

①認知症高齢者の日常生活自立度がⅡ以上の場合は、一次判定において要介護1以上とすること

②在宅で要介護4、5の人が限度額を超えて利用する場合、全額自己負担ではなく介護給付を認めること

3.介護従事者の待遇改善及び安定的人材確保について

①介護従事者の待遇を大幅に改善し、全産業就業者並みに引き上げること

②介護従事者の待遇改善を行う場合、利用者の負担増につながる現行の介護報酬上の「処

遇改善加算」ではなく、一般財源で行うこと

③これからの時代を担う若者が、介護を職業として積極的に選択できるよう、介護という仕事の意味や魅力を学校教育の中で学ぶ機会を設けること

4.高額介護サービス費の上限引き上げは実施しないこと

5.介護保険利用料の原則2割負担への引き上げは実施しないこと

6.認知症に関連する諸団体からの要望についても、誠意をもって対応すること

 

Ⅲ 地域支援体制に関する要望

 

1.地域包括支援センターの業務から介護保険給付実務をはずすこと

2.認知症初期集中支援チームが本来の早期支援の役割を果たせるよう改善を図ること

3.認知症地域支援推進員について具体的な訪問相談支援を主たる役割に加えること

4.認知症に関わるすべての専門職研修に、MCIを含めた初期の病態像やケア技術の項目を加えること

5.外出や就労等へのサポートで障害者施策の併用利用ができることを関係機関、専門職に周知すること

6.初期認知症の人の居場所や生きがい作りの支援環境を整備すること

 

Ⅳ 各サービスについての要望

 

1.訪問介護について

①要介護1、2の人の生活援助原則自己負担の導入を行わないこと

②生活援助中心の支援であっても、必要な訪問介護の利用は、同居家族の有無や要介護度を問わず認めること

③従来からの滞在型の訪問を強化するとともに、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護を定着させること

④通院、入院時の付き添い等の対応に訪問介護等の利用を認めること

2.通所介護について

要介護1、2の人の通所介護サービスを、自治体の総合事業に移行しないこと

3.居宅介護支援(介護支援専門員)について

①介護支援専門員がケアマネジメント能力を高め、公正中立に専門性が発揮できる体制とすること

②2015年の介護報酬改定で拡大・強化された「特定事業所集中減算制度」では、利用者の意向に沿ったサービス事業所の選択に支障が出ており、早急に制度を見直し、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)の公正中立性の担保は、別の仕組みで行うこと

③サービス利用に至るまでの相談支援にも、報酬を認めること

4.小規模多機能型居宅介護について

認知症の人が多く利用する小規模多機能型居宅介護の安定的な運営のために、介護報酬の引き上げ、通い、泊り、訪問の弾力的な運用等、必要な措置を継続的に講ずること

5.特別養護老人ホーム等の介護保険施設について

①特別養護老人ホームの整備を公的責任において促進すること

②今年8月から実施の特別養護老人ホーム等の低所得者対策(補足給付)の所得要件である課税年金収入額に非課税年金(遺族年金・障害年金)を含める改定を撤回すること

6.療養病床について

制度の推移に関わらず、利用者に現状と同等の必要な医療と介護を保障すること

7.福祉用具の貸与、住宅改修について

要介護2までの人の福祉用具の貸与、住宅改修の原則自己負担化は実施しないこと

 

Ⅴ 家族介護者支援に関する要望

 

1.JR事故最高裁判決をふまえて、家族介護者が普通の介護をしていれば、社会的不利益を被らないようにすること

2.家族介護者が介護による社会的不利益を被ることなく、仕事・余暇・教育・社会参加ができ、「生活の質(QOL)」を保障する情報提供や制度設計、支援策を行うこと

3.介護保険サービスのすべての利用料を医療費控除の対象にすること

4.「介護離職」を無くすため、在宅サービスを後退させず、介護休業・介護休暇の一層の充実を図り、取得しやすい環境を作ること

5.遠距離介護に要する交通費負担に対する軽減策がすべての交通機関で実施されるよう働きかけること

6.「家族の会」等の当事者組織を社会資源として位置づけ、活動に対する財政的、実務的な支援を強化すること

 

Ⅵ 若年期認知症に関する要望

 

1.40歳未満で若年期認知症と診断された場合、障害者総合支援法の対象として認めること

2.就労の継続の支援について

①認知症になっても本人が希望すれば働き続けられるように、企業が認知症に対する理解を深め支援者を置く等の環境を整えるための補助金を支給すること

②医療専門職が、認知症の人の能力に応じた仕事内容や支援を助言するための報酬を医療保険に設けること

③就労を継続できない場合は、その後の生活設計に必要な手続きを相談できるワンストップ窓口を身近なところに設けること

3.経済的支援の充実について

①生計を維持している人が認知症になった家庭の子どもの就学を保障する奨学金制度を設けること

②認知症が高度障害に該当し、高度障害保険金の支払いや住宅ローンの残額を免除できる場合もあることを、関係機関が加入者に周知徹底するよう指導すること

4.若年期認知症の人が利用しやすい介護保険サービスについて

①介護保険サービスを利用しても、障害者総合支援法サービスの就労支援や作業所、移送サービスの利用を制限しないこと

②若年期認知症のサービスを、地域密着の枠を超えて、広域で利用できるようにすること

③若年期認知症に適切なケアが提供されるよう介護支援専門員や介護スタッフの研修を進めること

5.早期に発見し、早期から適切な支援をすることについて

専門職が、認知症の人や家族の相談に応じ、適切な窓口につなぐ初期の支援を行うための報酬を医療保険や介護保険に設けること

6.若年期認知症「本人のつどい」を広げるための支援について

認知症の人同士が励ましあい支えあう「本人のつどい」を全国に広げるための補助金を支給する等、積極的な支援をすること

 

Ⅶ まちづくり・環境整備等に関する要望

 

1.災害時など緊急時における認知症の人とその家族への対応を充実させること

2.介護関連施設、場所、行動であることを表示する「介護マーク」を制定し、その普及を図ること

3.認知症の診断により運転免許証を返納した人への代替交通機関割引等の対策が行われるようにすること

4.認知症の人が一人でも、介護者と一緒でも、また車椅子でも安心して外出できる安心・安全の道路等交通環境の整備推進を図ること

5.運転免許取得・更新時の講習に認知症について理解するための内容を含めること

6.認知症の人と介護家族が安心して旅行ができるために、主要な駅、観光地にトラベルサポーターの配置等をすすめること

 

Ⅷ 2015年改定に対する緊急要望(2016年4月提出)

 

1.要支援の人の訪問・通所介護を介護保険から外すことをやめ、引き続き介護保険給付の対象とすること

2.利用料2割負担(年金収入280万円以上)への引き上げを撤回すること

3.特別養護老人ホーム入所対象者を要介護3以上に限定しないこと

4.施設入所者の食費・部屋代補助(補足給付)の要件を2015年7月以前に戻すこと

 

                                以上