当会は「要介護認定者の総合事業移行は絶対に認められない」とする緊急声明を厚生労働大臣あて提出しましたのでお知らせします。

厚生労働省は、今、『市区町村が認めた場合には、要介護者であっても「利用者が希望すれば」総合事業の対象とすることとする省令』(介護保険施行規則)改正を推し進めています。当会は、この改正は、要介護者の保険給付外しに道を拓くことが強く懸念される、きわめて危険な内容であり、断固反対します。

ご一読いただくとともに、広く拡散いただきますよう、お願いします。

【緊急声明】要介護認定者の総合事業移行は絶対に認められない~要介護者の介護保険外しに道を拓く「省令改正」は撤回すべき~

厚生労働大臣 田村 憲久 様

2020年9月18日

公益社団法人 認知症の人と家族の会 代表理事 鈴木森夫

要介護者の介護保険外しに道を拓く、省令改正が実施されようとしています

厚生労働省は、今、『市区町村が認めた場合には、要介護者であっても「利用者が希望すれば」総合事業の対象とすることとする省令』(介護保険施行規則)改正を推し進めています。 「家族の会」は、この改正は、要介護者の保険給付外しに道を拓くことが強く懸念される、きわめて危険な内容であり、断固反対します。事態はすでに、パブリックコメントが公募される段階に至っており、ここに緊急声明を提出するものです。

私たちがこの改定に強く反対する理由

1.今改定が、「制度の持続可能性」を名目に推し進められている介護保険の給付費削減の流れに沿ったものであること

今提案されている改正案は、要介護認定を受けた人へのサービスを総合事業に移行することを可能にするだけでなく、要支援者が要介護の認定を受けた場合に、サービスを総合事業に留めておくことを可能にするものです。これは要介護者の保険給付外しの突破口であり、介護保険の受給権侵害につながるものとして、絶対に認めるわけにいきません。

2.利用者・家族の自由な選択が十分に尊重されるかどうか強い懸念があること

改正案には、まず「市区町村が認めた場合」とあります。利用者・家族の意向よりも行政的な判断が優先される可能性を排除できません。また、「利用者が希望すれば」とされていますが、どれだけ利用者・家族の自由意思が尊重されるかについても、懸念を抱かざるを得ません。「希望により」や「合意に基づき」という言葉は、容易に事実上の強制に転ずることがあることを、新型コロナウイルスに伴う介護報酬特例の適用にあたり経験したことは記憶に新しいところです。

3.「サービスの継続性」、「地域とのつながり」を維持するためとの理由は説得力を欠くこと

現状でも、介護給付の事業と総合事業は同一の事業所により取り組まれていることが多く、事実上、「サービスの継続性」や「地域とのつながり」は保たれているケースがほとんどです。従って、敢えて省令を改正する理由としてはきわめて説得力を欠くものです。

4.介護サービスは介護保険給付サービスに一本化すべきであること

「介護給付」か「総合事業」かの議論が繰り返される根本的な原因は、介護サービスが細分化されていることにあります。介護サービスは、介護保険給付サービスとして一本化すべきです。特に、この課題は認知症の人にとってきわめて大きな問題です。「要介護1」「要介護2」の認定者の大半は、身体的な機能としてはある程度自立している認知症の人が多い認定区分です。専門的なケアを継続して受けることにより、少しでも進行を遅らせ、現状維持を図ることが重要です。

介護家族の負担軽減、介護離職の防止のためにも声を上げ続けます

国は、高齢者の増加とともに増え続ける介護給付費を焦点に、「制度の持続可能性」を強く打ち出しています。したがって、介護サービスを一本化しない限り「要介護1、2の介護サービスの総合事業への移行」などの給付費削減策は、今後もあの手この手で進められることは明らかです。介護サービスの細分化により、利用者・家族にとっても、また、困難な中で介護サービスに取り組む介護労働者や事業者にとっても、そして市区町村にとっても、問題点が山積となっています。国は、早急に介護サービスの一本化への検討を始めるべきです。そして、それに逆行する今回の省令改正を即座に撤回することを要望します。それを一日も早く実現するために、私たちは、今後も粘り強く声を上げ続けていきます。

緊急声明PDF 279KB