【要望書提出】住む場所で、治療の機会を失わないために|2026年7月

 公益社団法人認知症の人と家族の会は、2026年7月28日付で、厚生労働大臣に対し、「早期アルツハイマー病治療薬の地域間格差解消と医療アクセスの改善に関する要望書」を提出しました。

 要望書の全文は、以下の通りです。

早期アルツハイマー病治療薬の地域間格差解消と医療アクセスの改善に関する要望書

2026 年7 月28 日

厚生労働大臣
上野 賢一郎 殿

公益社団法人認知症の人と家族の会
代表理事 川井 元晴
代表理事 和田 誠


早期アルツハイマー病治療薬の地域間格差解消と医療アクセスの改善に関する要望書


 抗アミロイドβ抗体薬の臨床導入に際し、貴省ならびに関係部局、そして医療現場の皆さまが、治療の安全性を確保しながら進めてくださっていることに、深く感謝申し上げます。これら新規の作用機序を持つ高額医薬品について、治療を受ける早期アルツハイマー病の人の安全を最優先に、「最適使用推進ガイドライン」で厳格な施設要件と医師要件が設けられた経緯についても、私たちは十分理解しております。

 しかしながら、我が国最初の抗アミロイドβ抗体薬の上市から2 年半が経過した今もなお、施設要件を満たす医療機関は限られ、治療を希望する方が居住する地域で治療を受ける事ができる医療機関が存在しない「アクセスの空白地帯」が全国に相当数存在しています。「治療を受けたい」という切実な願いがありつつも、遠方の医療機関への通院が難しく、認知症の人や家族の通院負担が体力的・経済的に大きいため治療を断念せざるを得ない人々がいます。

 早期アルツハイマー病治療薬は、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症の人に対する薬剤であり、アルツハイマー病は経過とともに症状が進行するため、本治療を開始できる時期は限られています。現在、要件を満たす医療機関には、治療希望者が集中し、受診や診断までの待機時間が長期化しているため、「待っている間に症状が進行し、治療対象から外れてしまう」という極めて深刻な状況が各地で生じています。これは、治療を希望する早期アルツハイマー病の人と家族にとって取り返しのつかない不利益であり、適切な時期に治療を開始できる体制づくりが急務です。また、この治療に対する医師や医療従事者の理解も不可欠です。

 「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」では、「認知症の人の意向を十分に尊重しつつ、良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供されること」と明記されています。また、居住する地域にかかわらず等しく適切な医療を受けることができる体制の整備が、国および地方公共団体の責務とされています。治療を希望する人が住み慣れた地域で、時機を逸することなく治療を受けられる体制を整えることは、同法の理念をまさしく具現化する取り組みであると考えます。

 これまでに蓄積された安全性データや運用実績を踏まえ、安心安全に治療を受けることができるよう体制管理をしっかりと担保した上で、最適使用推進ガイドラインで定められた施設要件・医師要件を合理的に見直し、地域医療の中核を担う医療機関等でも治療が開始できるよう、早期アルツハイマー病の人と家族が少ない通院負担で、適切な時期に安心して治療を受けられるよう整備していただくことを、強く要望いたします。

以 上

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