2023年度支部代表者会議アピールを発表

 2023年10月21日(土)、香川県での会場参集・オンラインとハイブリッドで開催した2023年度支部代表者会議は、全国の支部代表者を含む約170名が出席し、活発な意見交換がされ終了しました。
 そして、「「認知症基本法」成立を追い風に認知症とともにある介護保険制度に期待します」と題した支部代表者会議アピールが採択されました。

「認知症基本法」成立を追い風に認知症とともにある介護保険制度に期待します

2023年10月21日

               認知症の人と家族の会支部代表者会議 参加者一同

 本日、支部代表者をはじめ約170 名が、高松市の会場及びオンラインで参加し、支部代表者会議を開催しました。今年の活動目標はピアサポートの深化・発展です。6 月14 日に成立した「共生社会の実現を推進するための「認知症基本法(認知症基本法)」は、認知症と共生しつつ認知症に対応する方針を確固たるものとして定めた法律です。認知症の人の尊厳保持、施策推進を国と自治体の責務とし、認知症になっても人としての権利が侵害されることなく、社会のあらゆる分野で活動することなどが条文に定められました。このことは、43 年間、認知症の人と家族のしあわせと安寧を願い活動を続けてきた認知症の人と家族の会にとって、認知症の人も、その家族も、ともに自分らしく生きることができる社会をめざす希望に満ちた法律です。


 その一方で、介護のある暮らしの大きな支えである介護保険制度は、その理念である「介護の社会化」の根幹を揺るがす状況が懸念されています。

 一つ目は介護人材の不足を背景に、通所介護と訪問介護を組みあわせた複合型サービスという新たなサービスが提案されています。柔軟なサービスといえますが、利用者にとっては訪問介護の制限となる可能性もあります。また、小規模多機能型居宅介護と類似しており、サービス選択を複雑にする内容です。訪問介護員は15.53 名の求人に対して応募が1名しかない状況です。抜本的な訪問介護員不足への対応になりません。

 二つ目は要介護1、2を総合事業へ移行する提案の再検討です。認知症の診断を受けた心身・社会的な支援が必要な人たちは、この段階で適切な支援を受けることで多くが介護の重度化を予防できます。これは、介護保険の受給権侵害にもつながりかねないことは再三指摘しています。要介護1、2 で訪問介護や通所介護を利用してその人らしく生活できている認知症の人は多くいます。このような要介護1,2の介護保険からの切り捨てにより、総合事業へ移行しサービスが縮小されると、社会との交流が減り、生活の支援が乏しくなることで認知症が進行し、重度化することにつながりかねません。

 三つ目にこのような介護の重度化の予防がなくなれば、認知症を進行させ、認知症の人の家族の介護負担が増大します。介護負担増によりワーキングケアラーが仕事を辞める、介護離職ひいては就労人口の減少や、社会経済の逼迫に拍車をかけるものです。

 認知症の人の尊厳を保持し、希望を持って生きることを支える認知症基本法は、認知症になっても安心して暮らせる社会につながり、介護のある暮らしを支える希望の光です。この法律の理念が介護保険法改正に活かされ、認知症の人も家族も希望を持ち、安心して暮らせる社会となることを望みます。

以上

「認知症基本法」成立を追い風に認知症とともにある介護保険制度に期待します(PDF)

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