「安心を保障する福祉」を 最優先に

2012年2月

利用者の立場からの主張

「家族の会」理事、介護保険・社会保障専門委員会委員長
田部井 康夫

今、政治やマスコミの世界では「財源がない。国の財政は破綻に瀕している。
震災・原発事故からの復興にも多くの財源を必要としている。景気をよくして税収を増やさなければ福祉の充実など空論に過ぎない」との声がまかり通っています。しかし、私は「だからこそ介護、福祉を最優先に」との「安心」を求める利用者の立場からの主張とその論拠を述べます。

利用者負担増は逆効果

財源がないことを理由に、利用者の負担を増やす方向に動いています。しかし、負担が増えれば増えるほど、介護サービスの利用者は生活を切り詰めざるを得なくなり、今、介護サービスを利用していない人も、将来に備えて貯蓄性向を強めることになります。その結果、景気対策としてもっとも重要だといわれる消費の停滞を招きます。消費の停滞による税収等のマイナスは、利用者負担増によるプラスを帳消しにする以上の大きさになるでしょう。負担増により、不安を煽ることは財源の確保につながらず、むしろ逆効果にしかならないのです。

不確かな財源の使い途(みち)

利用者の負担を増やす一方で、景気対策や円高対策などには多額の予算が使われています。しかし、景気刺激策は対象が限られ、継続的な効果も生んでいません。円高対策の為替介入もいくらつぎ込んでもその効果は表れてきません。景気や為替の動きは複雑で付け焼刃的な対策など受け付けないように見えます。その証拠に日本の経済はここしばらく目立った成長を実現できていません。

こうした投資は、少なくとも私たちが願う「安心」に結びついていないことだけは確かです。しかも、これらの政策の実効性は公の場では十分に検証されていません。

「安心」を保障してこそ

大震災・原発事故を経て、安心して生活ができることを望む声はますます大きくなっています。
今、この時代だからこそ、貴重な財源を、最優先に介護をはじめとする福祉を充実させることにま
わして、利用者の負担を減らし、「安心」を保証するべきです。
「家族の会」は「安心要望書の実現こそが安心に暮らせるための道」であると主張しています。
「安心」の保障が、人の心、人の関係にゆとりを生み、経済における豊かな発想や創意工夫をもたらし、健全な消費を活性化するという好循環をもたらします。こうした根本的な転換の上に立ってこそ新しい財源は議論されるべきです。「家族の会」は、「高福祉を実現するための応分の負担」を受け入れますが、安心を保障される確証がないまま、これしかないものとして提示される消費税増税を認めることはできません。

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