認知症の人の終末期を考える

会報ぽ~れぽ~れでは、介護家族が悩む終末期医療への考え方、胃ろうや延命について、「認知症の人の終末期を考える」を連載し、医師、死生学者等に執筆してもらいました。その連載時に、全国の支部会報に載った胃ろうや終末期医療での介護家族の悩みや戸惑い、決意などを抜粋し合わせて掲載しましたのでご紹介します。


会員さんからのお便り

会報ぽ~れぽ~れなどに寄せられた会員さんからの声を紹介します。

胃ろうを決断しました(70歳代 男性) 2019年8月号より
 妻はアルツハイマー型認知症で要介護4。骨折で入院治療中に食事を食べられなくなったことから、点滴などで命を繋いでいましたが、その処置にも限りがあるものとわかって、胃ろう造設を決断いたしました。
 妻は生活の全てに介助が必要です。延命治療については決めてありませんでした。言葉を発することができなくても、私のことがわかり、感情表明はできたことから、治療をどのようにするかについて悩み続けました。長年にわたって、老々介護を行っている私にとっては、新たな試練であると思っています。事例などを聞いても、読んでも、迷い続けるばかり。そのうちに、自分自身が疲れや食欲不振、睡眠不足から精神科のお世話になっていました。そうした中、娘が協力の手を差し伸べてくれるようになりました。感謝、感謝です。妻の介護は続きます。どこまでやればいいのか不安です。泣いても何の結論も得られないのに、また泣く。それにしても、私は弱い人間だな…。明日もまた病院へ見舞いです。マッサージすると妻の表情が豊かになるのが、嬉しいことです。
「胃ろうを決断しました」を読んで
笑顔を支えに…(50歳代 女性) 2019年11月号より
何かを決断する時って、精神的、体力的にとても消耗しますね。私の母も今まで頑張っていましたが、とうとう透析をしなければならなくなりました。今の状態や体力、認知症など、総合的に考えたDr.から透析をするかどうかの決断を家族に託され、とても悩みましたが、母が『生きたい』と言っていたので、やれることはやろうとふみきりました。そのため、入院したらトラブル続きで、その後4ヵ月入院中。その間アルツハイマーも進み、向精神薬も投与され、納得のいかないことばかりです。父は毎日、食事介助に病院に通っています。やはり母の笑顔や会話が励みになるようです。
あなたも娘さんの力を借りながら、後悔しない介護をしていきましょうね。きっと頑張っている姿や想いは通じていると思います。
自分で食べられなくなったら…(80歳代 男性) 2018年11月号より
特養に入居する前には、本人と家族で、終末期のことについて話し合っておく必要があると思います。自分で食べられなくなった時に、経管栄養にするか、介助による経口摂取で自然の経過にまかせるか。本人が意思表示ができなくなれば、家族が本人の意向を忖度して決めることになります。

ターミナルケア研修講座

認知症の人と家族の会では主に介護職や看護職を対象にして、杉山孝博先生(副代表理事、神奈川県支部代表)による現場で役立つターミナルケア(終末期医療・看護、看取り)の研修講座を毎年全国各地で開催しています。詳しくは「杉山Dr.の認知症研修講座」をご確認ください。

“Dr杉山の知っていますか認知症”より
No.44 苦痛の訴え少ない終末期-在宅ケアには支えが必要


全国のつどい

現在、介護している方同士のつどいの中では、胃ろうや終末期についての悩みや思いが話し合われることもあります。また、支部によっては、看取り後の方同士が集まり交流する会も開催されています。各支部にお問い合わせください。また、会員にはこのような情報が掲載された会報が毎月届きます。ご入会もご検討ください。