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更新:2017年5月2日
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知っていますか?レビー小体型認知症

知っていますか?レビー小体型認知症-病気、診断、治療、介護は

横浜ほうゆう病院・院長 小阪憲司

◦レビー小体型認知症とは何か?

レビー小体型認知症(DLB)は1996 年に初めて国際的に承認された比較的新しい認知症ですが、これは1976 年以降の筆者らの一連の報告により知られるようになり、日本で発見された病気です。しかも、DLB という名称が提唱されてわずか10 年ほどで国際的によく知られるようになり、今や欧米でもわが国でもアルツハイマー型認知症に次いで二番目に多い高齢者の認知症として知られるようになりました。しかし、病状が多彩で、誤診されていることが少なくないことを前回記載しました。パーキンソン症状(後述)が先行して、後に幻視や認知症が加
わることもよくあります。

DLB は65 歳以上の高齢者に発病しやすいのですが、65 歳未満に発病することも少なくなく、その場合にはパーキンソン症状で発病し、パーキンソン病と診断されることが多いのです。
ドイツのレビーLewy は1912 年にパーキンソン病の脳幹で初めて特異な神経細胞内封入体(レビー小体)を見つけ、後にレビー小体はパーキンソン病には必ず見出される病理所見であることがわかり、1976 年以降の筆者らの一連の論文で、レビー小体が大脳皮質にもたくさん出現し認知症をきたすことが明らかにされたのです。ですから、DLB では大脳から脳幹(大脳と脊髄の間の部分)に、さらに末梢の交感神経系にもレビー小体が現れる、全身病な
のです。

◦レビー小体型認知症の特徴的な症状

DLB では認知症が主体ですが、認知症が目立つ前に

①具体的な内容の人や小動物についての特有な幻視、

②認知機能の変動、

③パーキンソン症状がしばしば現れます。
幻視はDLB に最も特徴的で重要な症状です。「赤い服を着た女の子が私のすぐそばに座っている。いつの間にか現れていつの間にかいなくなる」「白い服を着た男の人と女の人が何人か廊下を行き来している」「何人か男の子や女の子が座敷で遊んでいる」とか「黒い大きい犬がそこに座っている」「アリのような黒い虫が廊下の隅に行列を作っている」といった、具体的な内容のありありとした幻視が特徴的です。「触ろうとすると消えてしまう」「電気をつけると消えてしまう」と話します。家族が否定するため「私にしか見えないようなんです」と話すこともある。幻視の他に、テーブルの上の人形が人に見えたり、水道の蛇口のホースが蛇に見えたりする「錯視」、「天井が波を打って見える」「床が歪んで見える」といった「変形視」、「夫が2 人いる」「自分の家が他にもある」といった「重複記憶錯誤」といったいろいろな視覚認知障害が現れることもあります。認知の変動もよくみられます。頭がはっきりしている時とぼーっとしている時が日により時により変動します。ぼーっとしている時に幻視などの視覚認知障害が起こりやすいのです。

パーキンソン症状としては、手足の振戦、筋肉のこわばり、動作緩慢、前屈姿勢、小股歩行などが多く、進行するとすり足歩行、すくみ足なども加わる。パーキンソン病とまったく同じ症状が出現しますが、DLB では振戦は比較的まれです。

幻視に基づく妄想や行動異常が出現することもあります。人が無断で家に現れるため、物を盗んでいくとか私を監視しているといった被害的な妄想が現れることもありますし、「主人が夜中に女の人と寝ている」などと嫉妬妄想を示すこともあります。このため抗精神病薬が安易に使用され、体が硬くなったり、過鎮静になることもよくあります。これは「抗精神病薬への過敏性」といって、DLB にはよくみられるものです。睡眠中に大声で怒鳴ったり叫び声をあげて怖がる寝言を言ったり、布団の上で暴れたりすることもあります。これは「REM睡眠行動障害」と言って最近注目されています。これだけが何年も十何年も前に現れ、後にDLB に特徴的な症状が出現することもしばしばあります。うつ状態が先行することもよくあります。そのため誤診が多く、DLB が見逃されていることが多いのです。高齢者のうつ病がなかなか治らないときにはDLB を
考えることも大切です。起立性低血圧のため立ち上がった時や食事を食べた後にめまいがして転倒することも多く、時には急にごく短期間気を失う(失神)こともあります。また、便秘や失禁なども起こりやすく、これらは自律神経症状なのです。

前述したように、DLB では早い時期には認知症が目立ちません。記憶障害はアルツハイマー型認知症よりも軽く、日ごろの事柄を比較的よく覚えています。しかし、進行するとともに記憶の障害も目立ち、認知症がはっきりし、認知症が進行します。その頃には幻視などのBPSD は軽減し、目立たなくなることが多いのですが、自発性が低下し、口数が減少し、何もしたがらなくなり、物事への関心も乏しくなってきます。また、パーキンソン症状が目立ち、起立や歩行が困難になり、転倒しやすく、種々の介助が必要になってきます。

また、自律神経症状も目立つようになることもあります。
DLB が進行し、認知症が目立つようになると、アルツハイマー型認知症との区別が難しくなってきます。また改めて取り上げますが、DLB にはしばしばアルツハイマー型認知症の病変が程度の差はあれ加わります。そのために、DLB とアルツハイマー型認知症との区別が困難になります。時にはDLB とアルツハイマー型認知症の両方が合併することもあります。しかし、上に述べた症状を注意深く観察すると両者の区別は可能なことが多いのですが、この場合には臨床心理検査や脳の画像(CT とかMRI とかSPECT など)、MIBG 心筋シンチグラフィーが診断に役立ちますが、これらについては改めて取り上げる予定です。

(つづく)

2010年11月25日発行会報「ぽ~れぽ~れ」364号より