介護保険・社会保障専門委員会

はじめに~毎週の会議開催はむしろ「丁寧」と考えるべきか?~

 厚生労働省社会保障審議会給付費分科会(分科会)は、10月9日の第187回以降も毎週のように開かれています。第188回は10月15日、第189回同22日、第190回同30日、第191回11月5日、第192回同9日。すべてオンライン会議形式で行われ、会議中の時間帯のみライブ配信という形で公開されました。レポート作業に取りかかれない間に5回の審議会が行われ、具体的な「方向性」が示されたテーマもあるようですが、できる限りの情報提供をして行きたいと思います。考えてみれば、少ない回数で、より官僚主導の強い審議よりも好評価できるかもしれませんが、9月14日の第185回までしか「議事録」が公開されていないのは納得しがたい所です。

 このレポートは「記録」の意味も込めていますのでそれぞれの議題を列記します。

 

 ■第189回

 令和3年度介護報酬改定に向けて

(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導)

 ■第190回

 1.令和2年度介護事業経営実態調査等の結果について

 2.令和2年度介護従事者処遇状況等調査の結果について

 ■第191回

令和3年度介護報酬改定に向けて
(地域包括ケアシステムの推進、自立支援・重度化防止の推進)

 ■第192回

令和3年度介護報酬改定に向けて
(感染症や災害への対応力強化、介護人材の確保・介護現場の革新、制度の安定性・持続可能性の確保)

 今号は、第188回に限ったレポートしかできませんが、順次追いかけるような形で掲載する予定ですので、ご了解ください。

第188回「分科会」での鎌田事務局長の発言要旨

「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」について

 このテーマの資料には「これまでの分科会における主な意見」の『総論』として3項目列記しています
〇自立支援・重度化予防を図り、質の高いサービス提供を促すため、メリハリのある評価体系となるよう検討するべき。 ○利用者の身体的な機能改善の評価に加えて、社会とのつながりの継続や、介護者の負担軽減、介護離職防止のためのレスパイト機能も適切に評価するべきではないか。 ○利用者のサービスの質の向上や介護人材確保の面でうまくいっている事業所の取組を丁寧に分析しながら議論をしていく必要があるのではないか。  

意見1. 要支援認定であっても必要な人には通所介護の利用できるように

要支援認定の人は通所介護から地域支援事業の通所型サービスに移行していますが、週1回あるいは2回の利用で、後は家族とこもりきりという声があります。

 「家族の会」が昨年度実施したアンケートでも「要支援1なので、デイサービスが週1回しか通えず、とても寂しがり屋で人と接するのが好きな母にとって1週間に1回の外出だけであとは家族としかしゃべらない生活が認知機能の低下に追い打ちをかけています。自立は概ねできているのですが、家族ではない方とコミニケーションした後は本当に人が変わったかのように普通になります。せめて週2回通えたらと願います」との声がありました。このように機能低下を防止し生きがいともなっている通所介護ですが、要支援の人の、介護保険制度の理念である利用選択の自由を、妨げている現状だといえます。現状でもそうですのに要介護5の人まで「希望すれば継続」と一見利用者寄りの変更のようでありながら、実は介護保険の給付を制限するように地域支援事業の通所型サービスに留めておこうとする現行の流れには、賛同できません。

また、地域によっては通所型サービスを提供する事業所も減り、住民主体型もないというケースもあります。コロナ禍では住民主体がゆえに休業した事業所もあります。要支援認定者には、うちの父もそうでしたが、認知症と診断を受けていても要支援認定されているケースもあります。要支援認定であっても必要な人には通所介護が利用できるようにしていただきたいと思います。

10月22日に厚生労働省が交付した「介護保険法施行規則の一部を改正する省令」は、その趣旨説明によると、要支援認定者が要介護認定になった場合「本人の希望踏まえて」「市町村が認めた場合」には、それまで利用していた「地域支援事業」を継続できる、という「改正」です。  「地域支援事業」は「介護保険施行令」に「政令で定める額の範囲内で行う」とあります。その「政令で定める額」は市区町村ごとに違います。それぞれの介護保険年度給付見込み額×2%の金額を限度とする事業です。市区町村が必要なサービスを保証しなければならない、要介護認定者の持つ「受給権」(介護サービスを受ける権利)とは、財源も内容も大きく異なります。「家族の会」は、9月18日に、厚生労働大臣宛に「緊急声明」を提出し、この「省令改正」に反対しました。

意見2. 通所介護をもっと利用者及び家族が利用しやすいように

「家族の会」は10年ごとに実施している介護家族の実態調査を実施しています。過去の調査と比較して仕事と介護を行っている介護者は多くなっています。働く介護者からは、デイサービスの利用時間が朝は遅く、夕方は早く、仕事に支障が出ているという声があります。また、パートタイムで働く家族からも時間帯の融通がきかないだろうかという要望があります。

デイサービスの利用時間帯の設定は、事業所の裁量、あるいは利用者や介護者の都合にあわせていただくことはできないのでしょうか? 「介護と仕事の両立」「介護離職の防止」のために、今回の見直しでは無理でも、事業所のみなさんのご意見も含めて、検討していただくことを希望します。

小規模多機能は、要介護度に応じてデイサービスの利用回数の制限をしている事業所があり、使いづらい面があります。利用の選択肢としてデイサービスで利用者や介護者の都合に合わせた利用時間帯の設定、事業所の裁量でもできるよう今後の検討をしていただきたいです。

意見3. 「生活機能向上連携加算」を取得しやすいように要件の見直しを

生活機能向上連携加算ですが、認知症の人の機能維持にとってもリハビリの専門家のアドバイスにもとづいた、機能訓練が、一番利用するデイサービスで受けられたらよいと思います。そのためこの加算の取得が進むようにしていただきたいのです。しかし、要件を見ますと連携する病院の規模が200床未満や半径4キロ以内に診療所が…などとなっています。なぜこのような細かな規定があるのか、その策定経過はわからないのですが、加算の取得を上げるためにも、このような連携先の制限を外していただき、取得率があがるようしていただきたいです。

「生活機能向上加算」は、通所介護事業所がリハビリ事業所などと連携し利用者個別のリハビリ計画を作成して生活機能を向上させた「努力」への加算です。資料でも算定率(=取得率)が「非常に低くなっている」とされています。「認知症対応型通所介護」を例にとると「算定事業所数」は2.5%しかありません。取得しない理由では、「かかるコスト・手間に比べて単位数が割にあわない」が最多で40%弱あります。また、連携先の確保や調整の難しさを訴える回答もあります。

質問4.福祉用具のレンタル品目縮小の「方向性」に反対

財務省の令和2年度予算執行調査の調査結果の概要で

年間で同じ内容のケアプランが一定程度存在するので、今後は歩行補助杖など廉価(れんか)な福祉用具については保険給付による貸与から販売に変えることで…云々との報告がされていました。ケアプランが同じ内容なのは、ケアマネジャーや福祉用具の担当者の質の問題がまずあり、ケアプランの内容が1年間同じだから、利用者が負担すべきとするのはあまりに、暴論であり利用者への負担増の発想まずありきではと思わざるを得ません。福祉用具を利用することで、歩行の自立が図られ、外出の機会も得、社会的交流が進み、認知機能の低下などを防ぐ手立てになっています。介護保険制度の理念である自立支援の強力な手立てになっています。

今回の資料にも記載されていますが、「利用者の状況に応じた、福祉用具の選択につながる手引きのようなものがあると、より適切な用具の選定が進み、自立支援にもつながる可能性があるので検討」とあります。同じ内容のケアプランが一定程度存在するのは、利用者の生活の改善をどう評価しているのか、まずは作成する、評価分析しているケアマネジャーや福祉用具の販売員の問題ではないでしょうか。利用者の状況に応じた手引きがあれば、同じ内容のケアプランが一定度存在しなくなるのではと考えます。それをすぐに利用者への負担に結びつけないでください。

資料6「福祉用具・住宅改修(検討の方向性)」の「これまでの分科会の主なるご意見」リストには、『利用者の状況に応じた、福祉用具の選択につながる手引きのようなものがあると、より適切な用具の 選定が進み、自立支援にもつながる可能性があるため、今後検討してはどうか』という意見の他に『サービスの質や安全性を確保する観点からも、福祉用具専門相談員について担当件数を設けてはどうか』また『福祉用具に関する知識の確実な習得のため、介護支援専門員の更新研修におけるテキストや教材等の拡充をされるとよい』という意見等があります。

 11月2日、財務省「財政制度等審議会財政制度分科会」が開かれました。議題は社会保障と地方財政でした。「介護」分野では、第8期介護保険事業計画を中心テーマにおき、まるで決まったかのような項目が並んでいます。〇『補足給付、高額介護サービス費(月額利用者負担の上限)について、保険給付範囲を縮小する方向での見直しを実施予定』 ○『補足給付については省令及び告示、高額介護サービス費については政令の改正で対応(第8期から施行を予定)』等々。審議中の「給付費分科会」を方向付けるつもりなのでしょう。国会を通さないで変えていく手法が明示されることに驚きます。国民と財務省の間に居る厚生労働省のガンバリ所と言えるかもしれません。

(注記、まとめと文責  鎌田晴之)