介護保険・社会保障専門委員会

はじめはじめに~「スピード感」あふれる審議のスピード~

第187回厚生労働省社会保障審議会給付費分科会(分科会)は、10月9日午後2時から5時までの予定でオンライン会議が行われ、会議中の時間帯のみライブ配信という形で公開されました。

議題は、1.平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和2年度調査)の結果(速報値)について  2.令和3年度介護報酬改定に向けて(基本的な視点(案)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、高齢者住まい・特定施設入居者生活介護)でした。

次回の分科会は10月15日、一週間も開けずの開催です。政策づくりの「スピード感」は、内容を伴ってこそ意味を持つと思いますので、熟議を期待します。 

鎌田事務局長の発言要旨

1.報酬改定の議論にしては資料不足

資料1-3「訪問介護における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業(速報値)(案)」ですが、訪問介護事業所の有効回収率が27.1%というのはとても低い回答だと思います。また、訪問介護調査では、利用者票が設けられ、回収率はわからないものの、一定の回答があります。一部紹介がありますが、全体的な概要を提示していただきたいと思います。速報値ということは承知してですが、報酬改定を議論する資料としては、あまりに不足する内容であることをお伝えします。

2.ヘルパー育成と活用のこと 

同資料7ページには「生活援助従事者研修」修了者の活用状況で、この修了者の訪問を受けている利用者は、要介護1の人が45%を占めています。この要介護1の人の中には何とか一人で暮らす認知症の人が多くいます。認知症高齢者日常生活自立度では、自立が60%ということは、40%が認知機能の低下がうかがえる人達が利用しているということです。利用者の満足度では9割が満足で、研修修了者の方はよくしてくださっているのでしょうが、認知機能低下での生活の支障や予兆を早く発見するには、ここにこそ、専門的なケアが出来る初任者研修以上の資格者にお願いしたいです。ヘルパーさんは一人で訪問し、いろいろなことを一人で判断しなくていけないことが多いです。59時間の研修では難しい判断となる事も多いと考えます。

*ちなみに、「介護職員初任者研修」は全130時間の内「老化」と「認知症」に関して12時間、「こころとからだのしくみと生活支援技術」に75時間です。「生活援助従事者研修」は全59時間の内「老化と認知症」に関して9時間、「こころとからだのしくみと生活支援技術」に24時間です。

「生活支援従事者研修」修了者の方は、むしろ「訪問介護」より、多くの専門職もいる施設系で従事していただけると、専門性が必要な介護は介護福祉士さんなどで、お掃除や洗濯など生活周辺の援助はこの「生活支援従事者研修」修了者の方でお願いできると、施設全体の介護の充実が図られ、介護福祉士さんが忙しく手が回らないところに手が届き、私たち家族もより安心です。

3.「身体介護」と「生活援助」のサービスを一本化すべき

自立生活支援のための見守り的援助や生活機能向上連携加算は認知症の人にとって、出来ることを支える援助としてとても重要な内容ですが、今回の資料によると取得率が大変に低いです。これまで何度もこの分科会でも議論されましたが、取得率向上のための方策の検討が必要です。

「生活機能向上連携加算」は、訪問介護事業所のサービス提供責任者が理学療法士などの医療職と連携して利用者のADL(日常生活動作)向上をめざす「努力」への加算です。今回の資料によると、要件的に算定しやすい「加算Ⅰ」でも1.9%しかありません。資料には、速報値とは言え、なぜこれほど低率なのかを探る調査が示されていません。

また、訪問介護ではサービスを生活援助と身体介護を分けていますが、生活援助の中には見守り介護も多く存在してます。私も、母の介護では生活援助の中での見守りで、認知症症状の進行や精神の不安定さを早くに見つけていただき、手立てができました。これは身体介護といってもいいと思います。分けるのではなく、訪問介護のサービス内容を見守りも含め、身体と生活介護を一本化したサービスがよいと考えます。今後検討してください。今後、さらに増えていく、認知症の人への早期の対応ができるのではないかと考えます。訪問介護サービスは初任者研修以上の資格者が担い、サービスは生活と身体の介護を分けず、一本化したサービスが認知症の人が安定して暮らすためにも必要と考えます。

2018年3月厚労省は、「訪問介護サービス」(身体介護・生活援助・通院等乗降介助)の「身体介護」の一つである「見守り的援助」に8項目加え15項目にしました。「生活援助」との区別があいまいだった、という理由です。従来からあった「認知症の高齢者と一緒に冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す」という項目もそうですが、追加された「 認知症等の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する」事にしても、「身体介護」と「生活援助」を分ける事に意味があるのでしょうか。

4.グループホームの夜勤体制は継続を

夜勤職員の2ユニット1名の体制について今回、現在のような変更となった経過も含め資料提示されています。P27の「介護事業所・施設の夜勤体制」という表では他の入所系施設では2ユニット1名での夜勤体制で、29ページにはグループホームについては「ユニットケアの理念」等を根拠として手厚い配置となっていることが明記されています。

認知症の人だけが入所できるのがグループホームです。要介護1、2などまだまだ行動的な人も多く入所していますので、他の施設との違いがあります。最近は看取りまで行う事業所も増え、終生なじみの職員と過ごすことが出来る安住の場です。夜も含めて認知症の人が安心して過ごすためにも現行の配置の継続をしていただきたいです。

これまでの分科会の議論には、「2012年度から、グループホーム火災の事案を受けて、一人夜勤の例外規定を無くした経過を考慮すれば、現状はスプリンクラーが完備されているし、見守り機器を活用する事で、一人夜勤も認めるべき」という意見もだされていますが、賛成できません。

「家族の会」が昨年、関係諸官庁に提出した「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書2019年版」(安心要望書2019年版)では、「施設における『夜間勤務』は、介護対象者の人数に関らず複数配置を可能とする制度に改めること」という要望を出しました。利用者と職員双方に理(利)のある要望と考えています。

5.介護ロボットなどの導入促進は介護保険財政ではなく一般財源で

人材の確保についてですが、介護ロボットやICTの活用では、その機器の購入やその機器での介護に慣れるまでの助走期間があると思います。私たちでも、新しい機器に慣れるまでには時間を要します。有効で効果的な機器も多くあるでしょうから、その導入を介護報酬や少人数の人員の加配という加算ではなく、今後の介護人材不足の予測も見据えて、国の予算で導入が進むようにしていただけたらと考えます。

6.ロボット導入には介護職の教育にも配慮を

また、機器が導入されますと、例えば夜間の見守り機器で見守られるのは“ひと”であること、リフトで移動するのは要介護の重度の“ひと”であるという、“ひと”がその中心にいての介護ロボットやICT機器です。 “ひと”をICTとともに介護している、ロボットと一緒に介護していることを忘れない人材教育も合わせてお願いします。リフトで妻が運ばれているのを見た夫が「うちの家内を荷物のように扱うな。不安な顔で泣きそうではないか」と怒鳴った方がいたことを聞いています。機器はあくまで補助道具で、介護士さんの代わりにはならないです。

10月15日、6月以来の「全世代型社会保障検討会議」が開催されました。6月の同会議「第2次中間報告(案)」には、「検討経緯」として、介護分野で言えば(1)保険者努力支援制度の抜本強化 (2)介護インセンティブ交付金の抜本強化 (3)エビデンスに基づく政策の促進 (4)持続可能性の高い介護提供体制の構築、という4項目が並べられています。いずれも、この給付費分科会で審議対象としてきたテーマです。今回の会議では、新しい総理大臣”肝いり“の「少子化対策」が中心議題でした。今後、新しい政府の影響がどのように出てくるのか注視していきたいと思います。

 (注記、まとめと文責 鎌田晴之)

リンク:厚生労働省(部会ホームページ)

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html