介護保険・社会保障専門委員会

はじめに…「討議資料」提出が会議当日とは!?

第83回「第84回「厚生労働省社会保障審議会介護保険部会」(部会)は、10月28日に「ベルサール九段」(東京都千代田区)で午前9時から行われました。

議題は(1)介護サービスと高齢者向け住まい(2)科学的介護の推進、介護関連DB等の更なる利活用等 (3)制度の持続性の確保、の三点でした。「制度の持続性」という表現で、核心的なテーマがいよいよ出されてきました。検討に必要な資料を当日まで出さなかったのは何か意図があったのでしょうか。

 

一つ一つが重い「検討事項」を一括審議

議題(3)の「制度の持続性の確保」で示された検討事項は、(1)被保険者、受給者 範囲 (2)補足給付に関する給付の在り方 (3)多床室の室料負担 (4)ケアマネジメント に関する給付の在り方 (5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方 (6) 高額サービス費 (7)「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準 (8)現金給付、の8 項目です。これは、第80回「介護保険部会」で示された検討事項ですが、表現を抽象 的にしています。例えば、(4)について、第80回「部会」では『ケアプランの作成費用 の自己負担化』となっています。(「動きレポート#1」参照)いずれにしても、どの 項目も十分な検討を必要とするものです。

花俣副代表の発言要旨

(限られた時間のため、議題(3)にしぼっての発言でした。特に大事な論点ですので、今回はできるだけ簡略化せずお伝えしたいと思います)

「負担能力」に関する資料を!

(1)から(7)までの7項目はすべて、認定を受けた人の経済的負担が増えることを想定していると思う。くりかえし申しあげるが、「認知症の人と家族の会」では、利用者負担を増やすことを大いに心配している。認知症への関心と施策が高まる一方で、制度の後退という流れは止まず、生活の苦しさや不安は募るばかりである。 今回、この膨大な参考資料3には今朝初めて目を通すことになったが、「給付と負担」について、合理的で説得力のある結論に至るためには、さらに「負担能力」に関する資料が必要だと思う。「一定以上所得」がある場合、利用者負担が2割になったが、サービスを半分にして我慢している方もおられる。また、「一定以上所得」がある人には、扶養家族がいるケースが多いという調査もある。金融庁は、夫婦の老後資産は2000万円が必要という報告書を出したが、必要と言われても、被保険者、なかでも要介護認定を受けた人にどのくらい「負担能力」があるのかを判断できる資料がほしい。本日の参考資料のなかにありますか?

公的支援ニーズの詳細を!

(1)の被保険者・受給者範囲、の問題でも資料が必要。何歳から被保険者にするのが妥当なのかということは判断できないが、生まれた時から難病や障害がある人がいる一方で、子ども時代、あるいは学生時代、働いている時期等、さまざまなライフステージで病気になったり、事故で障害を負う人もいる。そうした人たちがどのくらいいるのか、介護保険のサービスを提供するとしたら、どのくらい必要になるのか、といったことがわからないと議論できないと思う。さまざまな側面で、どのくらい公的な支援のニーズがあるのか、推計でもいいので、資料を出していただきたい。

「要介護1と2」の人たちは「軽度者」ではない!

(5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方だが、要介護1と2の認定を受けた人たちは「軽度者」ではない。ひとり暮らしや高齢夫婦世帯で認知症になるケースもたくさんあり、再三申しあげているように、認知症の初期から中等度の方は動けるがゆえに、認定結果は要介護1・2の方が多く、この時期こそ、重度化の防止や進行を緩やかにするために、最も必要なのは専門職による介護である。ホームヘルパーが提供する生活援助は、決して家事代行ではない! 介護のある暮らしの「持続可能性」を保障するものである。 介護施設に入れない、自費負担ができなくて「高齢者向け住まい」に移れない、入院期間が短くなりはやばやと自宅に戻らなければならない、さまざまな理由で「生活援助」を必要としている人たちがいるという現場のあり様をぜひ、委員の皆様のみならず!今ここにおられるすべての方にご理解いただいて、時間をかけた丁寧な議論が必要だと思う。また、負担の対象年齢が引き下げになるという情報だけが先行してしまうと、若い世代には「給付と負担」のうち、負担増しかイメージできないことも心配材料であることをお伝えしておきたい。

「随行」した大下直樹徳島県支部代表のレポートです

(*同行する関係者は「随行者」と呼ばれています)

 要介護1・2の人の総合事業への移行についての議論が今回の核心であろう。 花俣副代表は認知症初期の人の多くが認定される要介護1・2は決して軽度ではないことを強調。この時期からの支援の重要性を訴えた。事業の評価が十分になされず、地域差も大きい中、総合事業への移行は時期尚早との意見が、他の委員からも示された。 いずれも私たちの暮らしに直結するテーマが、各団体代表の意見の言いっ放しで終わ っていいのか。結論ありきでまとめられるのではないかと強い危惧を覚える会議でした。

「検証が不十分なまま移行するなんて!」(山井衆議院議員=11月6日)

立憲民主党の山井議員は11月6日の衆議院厚生労働委員会で、要介護1または2と認定された人を総合事業に移行する「方向性」について、「総合事業の検証も不十分なまま移行することは、介護状態の進行、とりわけ認知症の人の重度化が懸念される。この時期の介護家族の苦労は大変なんだ」という主旨で反対を主張。また、厚労省の頭越しに結論付けようとしている「全世代型社会保障検討会議」が、「家族の会」をはじめとする当事者団体のヒヤリングを行いますね、と確認しましたが、加藤大臣は明言を避けました。

次回の「部会」

 次回の「部会」は2019年11月15日に予定されています。(まとめと文責 鎌田晴之)

リンク:厚生労働省(部会ホームページ)

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html