公益社団法人認知症の人と家族の会では、2019年10月26日に茨城県つくば市で開催した支部代表者会議において、支部代表者会議アピールを発表しました。

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2019年度支部代アピールを読み上げる田部井副代表
2019年度支部代アピールを読み上げる田部井副代表

認知症になっても安心な暮らしを実現する社会保障を求め続けよう

「認知症の人と家族の会」は、1980年の結成以来、本人・家族どうしの支え合いの輪を拡大・発展させてきました。「介護の社会化」を謳った2000年の介護保険制度の創設も相まって、私たちは、認知症になっても安心な社会の実現に希望を持つことができました。国は、介護保険法に「本人・家族の視点重視」を掲げ、新オレンジプランを引き継ぐ「認知症施策推進大綱」を策定し、その基礎となる「認知症基本法」制定の動きを進めています。では、今、認知症の人と家族は将来に希望を持って生活ができているでしょうか。

10月には消費税が10%に引き上げられました。年金給付の削減・先送り、国民の間の経済格差の拡大、個々の生活状況を無視した老後資金情報の発表など生活の不安材料には事欠かない現実があります。介護の現場における人手不足は深刻の度を増し、働き手を確保できない事業所の倒産も増加しており、支え手を失うのではないかという不安も尽きません。

また、2017年の介護保険法改正で第五条の二に「介護者支援の推進」が盛り込まれたにもかかわらず、制定の動きが進められている「認知症基本法」やその具体策としての「大綱」においては、介護家族支援の視点はきわめて弱いのが現実です。それは具体的に、本人・家族への支援の要である介護保険制度上の諸施策の利用者負担増・給付削減の流れが止まらないところに現れています。サービス利用の削減か生活の切り詰めかの二者択一を迫られている利用者・家族も少なくありません。こうした状況のもとで、多くの本人・家族は厳しい生活を強いられ、これからの生活に大きな不安を抱いています。

その上、介護保険制度の2021年の次期改正に向けた議論を始めた「社会保障審議会介護保険部会」には、次のような、さらに厳しい論点が示されています。

  • 利用料2割、3割となる対象者の拡大
  • ケアプランの作成費用などの自己負担化
  • 高額サービス費の自己負担限度額の上限の引き上げ
  • 施設入所者の居住費・食費の自己負担の引き上げ
  • 入所施設等の多床室の室料の有料化(現在は介護老人福祉施設以外は自己負担なし)
  • 要介護1、2の人の訪問介護・生活援助サービスの「地域支援総合事業」への移行、等

これでは、私たちの「生活の持続可能性」よりも「制度の持続可能性」を優先していると言わざるをえません。政府は、新たに「全世代型社会保障検討会議」を設置して、その動きを強め、さらに、「財政制度審議会」は、あらためて「利用料原則2割負担」を求める改革案を示しました。このような状況では、社会保障審議会においても「原則2割負担」が提案され、十分な議論もなく採択されてしまう危険性が極めて高いと言わざるをえません。

しかし、制度が維持されたとしても私たちの生活が立ち行かなければ元も子もありません。

そして憲法25条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定められています。その趣旨にそった政策に転換することを強く望みます。

認知症の人と家族の会支部代表者会議 参加者一同

以上