アルツハイマー・ヨーロッパの電話相談

「アルツハイマー・ヨーロッパの電話相談の手引き」

Alzheimer Europe  Alzheimer Telephone Helpline Manual)より

(社)家族の会が加盟している国際アルツハイマー病協会の本部に電話相談について問い合わせしたところ、ヨーロッパの各国のアルツハイマー病協会で構成されている地域的な国際団体であるアルツハイマー・ヨーロッパ(本部:ルクセンブルグ)の電話相談の手引き(Alzheimer Europe  Alzheimer Telephone Helpline Manual)が送られてきました。その手引きにはヨーロッパのいくつかのアルツハイマー病協会の電話相談の実際が報告されており、(社)家族の会の電話相談にも役立つことが少なくないのでその一部を翻訳・紹介します。さらに(社)家族の会の電話相談(認知症の電話相談110番)と比較ながら訳者の解説を加えてみました。この「解説」は訳者の個人的なもの見解に基づくものであり、(社)家族の会としての解説ではないことをお断りしておきます。なおこの手引きの発行時期は内容から推測して1997年頃と思われます。(訳者:三宅貴夫)

1. 電話相談の定義

1)        誰もが相談できる。

2)        秘密を厳守し匿名である。

3)        24時間利用できる。

4)        低額で利用できる。

解説電話相談は英語ではHelplineと表現しますが、これは直訳すれば「援助の線」です。電話線を通しての支援するという意味です。電話相談は電話さえあれば、誰でも何処でも何時でもできるものですが、アルツハイマー・ヨーロッパでは以上の4つの条件を満たすものを電話相談としています。

1)第1は、会員制などで特定の人しか利用できない相談ではなく、電話相談は誰にも開かれた支援であることです。このことは電話による援助を求める人が等しく利用できる利点がある反面、本来の目的の沿わない相談も持ち込まれる恐れもあります。

2) 第2の秘密厳守と匿名性は電話相談の基本です。この二つが保障されてこそ第1の誰もが利用できることにつながります。しかし相談者が特定の相談員と特別な 関係のなかで知ったの秘密を相談員同志でどの程度、情報を共有するかの問題が生じることがあります。このため相談はあくまでグループとして応じていること を示す必要があります。匿名性については、電話相談はあくまでも受け身であり相談員が相談者に電話することは例外的です。相手がみえないためもあり相談員 にとって相談が適切であったのかどうか心配が残ることがあります。

3)第3の24時間利用できる電話相談は、(社)家族の会では実現していません。日々介護に明け暮れている家族にとって夜間や休日に徘徊や暴力などの「問題行動」で相談したいことがあるはずです。24時間体制の電話相談のどの程度必要か把握していませんが、(社)家族の会の会員からは昼間勤務しているため休日や夜間の電話相談をしたいとの希望はあります。支部によっては世話人たちが自分達の自宅の電話を開放して実質的に24時間体制に近い相談を行っています。

4) 第4の低額で利用できるというのは、これも第1の誰でも利用できることの保障のひとつです。本部の相談はフリーダイヤルで無料ですが、支部の電話相談では 通話料は相談者が負担しており、遠方から長時間の相談では低額でなくなるかもしれません。これからインターネット電話が普及することによりフリーダイヤル でなくとも低額の相談が可能となるでしょう。

2. 電話相談の原則

1)        相談者への支援が第一である。

2)        正確な情報を提供し必要があれば他に紹介する。

3)        秘密を守り、精神的な支援をする。

4)        指示的でなく結論を示めさない。

5)        相談員は研修を受ける。

6)        募金活動や会員を増やすことを目的としない。

7)        相談者は、介護者、家族、認知症の人自身、専門職、学生その他認知症に関係する人である。

8)        相談は、相談者に何をすべきか伝えるのではなく、相談者が決定するのを助けることにある。

解説 アルツハイマー・ヨーロッパは電話相談の8つの原則をあげています

1)電話相談は、当然のことですが相談者のためのものです。しかも電話という機械をとおしての言葉による援助で、相談者の立場を尊重した援助が求められます。悩みや苦しみに耳を傾け聴くことを中心とした精神的な支えと病気や社会サービスなどの情報提供が援助の2本柱です。

2) この情報提供は正確でなければなりません。曖昧な情報を相談者を迷わせることになるでしょう。相談員は、多くの新しい正確な情報を知っておく必要がありま す。これは相談員の記憶のなかだけでなく、電話相談の必要書類として手元に用意しておきます。相談員だけでは正確な情報が提供できない、あるいはより専門 的な相談を必要とする場合は、それに相応しい人や団体に紹介することも相談の重要な役割です。このためには、紹介先の情報を手元に用意しておく必要があ り、紹介先との連携や信頼関係も大切です。

3) 電話相談は、デイサービスや訪問介護などと異なり声だけによる援助です。声による精神的な支えであり、声による情報提供です。情報は本やインターネットか らでも得ることができますが、精神的な支えは直接語りあうことから得られる貴重な援助といえます。このため相談員は相談者の思いや期待を語り合いの中から 見つけ出す能力と技術が求められます。

4) 相談員のよっては同じような相談を何度も受けていると対応がパターン化してしまうことがあります。問題と答えを短絡的に結びつけ、正しいと思いこんで結論 を急いでしますことがあります。しかし相談者の問題は自分自身が解決するものであり、相談員はそれを援助する立場にあることの認識しておきたいものです。 相談者が自分で解決することは難しいこともあるでしょう。相談員は突き放すのではなく、共に悩み考えるという見守る関係にあることも大切です。

5) 相談員は、たとえボランティアとしての多くのことが求められています。自分では正しいと思い込んでいる自己流の相談に陥らないように相談経験が長く経験の 豊富な人や専門家から電話相談の知識と技術を習得する必要があります。こうした研修によって相談員の間での知識や技術のばらつきがより少なくグループとし ての質が高く内容の豊富な相談が提供できるでしょう。

6)(社)家族の会の電話相談は相談者への精神的な支えと情報提供が目的です。入会が目的でないことは言うまでもありませんが、相談内容によっては(社)家族の会の活動を紹介し入会を勧めてもよいと思います。

7)電話相談は誰でも利用でき対象者の制限はありません。実際には介護家族が主な相談者ですが、患者自身からの相談も時々あり、またもの忘れが気になるとの高齢者の相談もあります。学生や研究者からの相談は少ない。

8) 相談員は相談者に指示的でないことと同じで、最終的には相談者が自ら決めるのです。これは電話という限られた手段で限られた時間のなかでの相談であるため 相談者の状況を相談員が必ずしも的確に把握してないことがあります。このことは「自分で決めるのです」と突き離すのではなく見守ることなのです。相談内容 によっては相談者が決定ができないで相談員が指示せざるとえないこともあるでしょう。

1) 電話相談の一例―スコットランド・アルツハイマー病協会の場合―

1)電話相談は24時間、フリーダイヤルで提供している。

2)年間約2500件の相談を受けている。相談の70%は介護者でその内容は情報提供や精神的支援、12%は専門職、4%は学生、3%は認知症の人自身かもの忘れを心配している人である。

3)相談は協会の事務所で行う。

4)相談員は、研修を受けたボランティア40人から50人であるが,臨時のスタッフもいる。

5)相談専任の職員がいる。この職員の役割は、スタッフの採用、研修、相談の支援、管理および困難事例の検討である。

6)事務所が開いている時は、ボランティアや事務所の職員が対応するが、夜間や休日はボランティア個人の電話に転送される。
7)        相談員は、電話相談を始める前に3日間の基礎研修を受ける。また毎月改定される情報の手引きが渡される。

解説アルツハイマー・ヨーロッパに加盟している団体のなかでスコットランドのアルツハイマー病協会(正式名称はAlzheimer Scotland – Action on Dementia)は電話相談が活発です。その団体が具体的にどのように電話相談を行っているか一例として紹介しました。

1)協会の電話相談は、フリーダイヤルで、24時時間の対応がしています。このために多くのボランティア、整備された相談体制、活動資金が欠かせない。

2)(社)家族の会でも年間相談件数は約2500です。しかしスコットランドの人口は約500万人です。

3)(社)家族の会でも本部の電話相談は事務所で行っています。

4)(社)家族の会では約10数名のボランティアが電話相談に応じています。

5)(社)家族の会では電話相談専任の職員はいません。本部事務局の職員や京都府支部の世話人らが運営に関わっています。

6)(社)家族の会の電話相談は平日の月曜日から金曜日の午前10時から午後3時までです。

7)(社)家族の会の相談員も研修を受けたもと介護家族の人に限っていますが、研修期間は年間で2日から3日です。定期の研修のほかは相談員相互の話し合いや情報交換を通して相談の向上に努めています。

5) 電話相談に必要な情報

(1)    病気と診断

(2)    サービス

(3)    介護の実際

(4)    経済的なこと

(5)    法的なこと

(6)    関係団体

解説(社)家族の会の相談内容は多岐にわたるため、それに応じられるように多くの情報を蓄えています。相談員も即答できるように情報の一部を知識としてもっておくことも大切です。

ア ルツハイマー病など認知症や病気の診断や治療の基本については数多くの本があり、そのなかで適当なものを備えています。サービスや制度につい ても、介護保険を初めとして関係書類を用意しています。相談を進めながら必要な情報も増やしています。例えば、「もの忘れ外来」の相談が急増した時に、全 国の「もの忘れ外来一覧」を作成しました。

介護については、(社)家族の会の電話相談の特徴である介護体験者が相談員であり、これについては豊富な情報を持っています。しかし認知症ではない他の病気や状態、より専門的な介護技術―音楽療法や回想法など―については本などからの情報を提供しています。

経済的なことについての情報は、障害者手当などについては備えていますが、若年期認知症の大きな問題である所得保障についての情報は十分ではありません。

法律関係、特に成年後見制度についてはその概要や手続きなどの情報を備えています。厚生労働省、都道府県や市町村の担当部署あるいは全国グループホーム協会など関係団体の情報を多くするように努めています。

3) 電話相談に必要な書類

(1)登録票(集計用)

(2)報告書(相談内容の記載用)

(3)点検リスト(相談応対のチェック用)

(4)評価表(相談者からみた相談について評価用)

(5)参考図書

解説ア ルツハイマー病ヨーロッパが勧める書類と比較すると、(社)家族の会の電話相談では、所定の相談記録用紙と参考図書だけです。電話相談の集計は大切な業務 で、このために記録用紙を集計にも利用しています。相談員自身による自己点検の書類やさ相談者による評価表はありませんが、相談の向上のために必要でしょ う。

(6) 電話相談スタッフの採用と研修

(1)採用の方法

①      職員またはボランティアとして採用

②      要件

☆スタッフに最低限求められること

○責任感があること

○よい聞き手であること

○情報を明瞭に伝え,複雑な情報を上手に説明できること

○性格的に明るいこと

○指示的でないこと

○    共感できる能力があること

☆できれば備えておきたいこと

○    認知症の人について個人的に知っているか、介護の経験がある

○    認知症の専門的な介護経験がある

○    カウンセリングや電話相談の経験がある

③      採用方法-公募などによる-

④      助言者として以下の分野の人を置いておきたい。

老年精神科・神経内科・法律・社会保障・ソーシャルワーク・

作業療法・心理学・看護

(2)研修の方法

①研修を受ける人-ボランティア、介護経験者、カウンセラーなど

②研修の構成

☆基礎コースの研修項目

○    カウンセリングの基礎

○    電話相談の理念

○    経済的・法的なことがら

○    認知症の医学

○    認知症の介護

○    介護者の負担

○    アルツハイマー病協会

○    地域のサービス

○    認知症の人とその行動の理解

○    家族介護者が必要とすること

☆上級コースの研修項目

○    最近の医学や介護の研究

○    問題行動への対処

○    電話相談の弱点

○    認知症の介護の質

○    社会保障、地域ケア、法律の最新情報

基礎コースの実際(スコットランド・アルツハイマー病協会の場合)

○    あいさつ

○    自己紹介

○    電話相談とは

○    協会と電話相談について

○    認知症の基礎知識

○   認知症の診断,その影響および原因

○    聴く技術

○    返答の仕方

○    一般的な質問と個別的な質問

○    共感

○    地域ケアと利用方法

○    情報源と他への紹介

○    認知症の介護家族とその負担

○    社会保障制度

○    問題行動への対応

○    守秘について

○    相談記録の取り方

○    認知症と法律

○    ボランティアであること

○    地域の支援システム

○    不適切な内容の相談と困難な相談

○    相談を終える方法

○    相談の実際

○    電話相談の実習

解説アルツハイマー・ヨーロッパは、アルツハイマー病協会での電話相談を担当するスタッフの採用と研修についていくつか提案をしています。

1)        採用

(1) スタッフは有給の職員として採用するかボランティアとして採用するかですが、スコットランド・アルツハイマー病協会の場合では1名が専任の職員を採用し、 他は30名余のボランティアです。職員の利点は、決められた業務にこなしスタッフ全体をまとめ、さらにカウンセリングなどの教育を受けた専門職的な相談を 期待することができるでしょう。反面、人件費がかかること、決められた業務しか依頼できないなど相談業務の弾力性を欠く恐れがあると思われます。

こ れに対してボランティアは比較的自由に相談業務につき介護経験の特徴を相談に生かせ人件費があまりかからないなどの利点がある反面、電話相談の経験は通常 乏しく改めて研修を行う必要があり、資質面でどのボランティアも相談に相応しいとは限らない、自分の都合が優先する場合があるなどの欠点もあると思われま す。

(2)電話相談は、顔が見えない匿名の相談者と相談員の言葉による繋がりにですから、スタッフの資質面での要件は重要です。アルツハイマー・ヨーロッパはその最低要件を5つ提案しています。

「責任感あること」とは、例えボランティアとして約束し決められた相談は責任をもって行うことです。気が向かないからを突然に決まっていた相談を休むことは許されないでしょう。

「よ い聞き手であること」は電話相談の基本です。相談者の訴え、悩み、苦しみ、哀しみに耳を傾けて聴くことです。時には相づちを打つ言葉は挟んでよいでしょ う。この聴くことだけで相談者の心は休まり納得するかもしれません。しかし相談によっては聴いてばかりいては問題解決に結びつかないこともあります。聴き ながら適宜、語りかけ問いかけをして相談者がどのような状況に置かれているかより正しく把握し、問題を整理し、解決につながるかもしれないものを探すこと ができるかもしれません。良い聞き手とは、聴くだけでなくよい問いかけをすることでもあるはずです。

「情報を明瞭に伝え,複 雑な情報を上手に説明できること」も大切です。このためには相談員が情報を正確に理解しておく必要があります。また相談者の理解度や状況に応じて時には詳 しく、時には簡潔に説明します。不安を与えるような情報―例えばアルツハイマー病の遺伝―については慎重に説明する能力が求められます。

「性 格的に明るいこと」についてですが、認知症に関する電話相談は深刻な内容が少なくありません。電話相談のなかでお互いに気持ちが暗くなり、泣くこともあるか もしれません。しかし相談者を不安やうつ状態あるいは介護の放棄や暴力に向かわせることは避けなければなりません。このためにたとえ深刻な内容の問題で あっても物事を前向きにとらえる「明るい性格」が相談員に求められます。このように性格的に相談に向かない人もいるようです。

「指示的でないこと」ですが、困難な介護経験をした相談者のなかに自分の経験のみで問題をとらえ、他の介護家族に自分の考えや方法を押し付けることがあり注意したいものです。

「共感できる能力があること」は聴くことと同じことです。聞くこととは違います。上手に聴き共感できることは意外に難しく誰にもできるというものでないかもしれません。アルツハイマー・ヨーロッパの手引きには共感と同情とは違うと明記されています。

(3) 相談員の要件として加えて備えておきたいこととして、3つあげられていますが、(社)家族の会の電話相談はこのうち「介護経験」があることを重視していま す。日本国内で認知症の電話相談はいくつかありますが、(社)家族の会の特徴は介護経験のある家族が相談に応じていることです。

(4)助言者として老年精神科などに詳しい専門家を置くことは電話相談の内容を充実させることになるでしょう。(社)家族の会では特に電話相談のためにこうした専門家を置いてはいませんが、会員で専門家の人に相談員が適宜相談したり紹介することがあります。

2)研修

アルツハイマー・ヨーロッパは電話相談のための基礎研修として10項目、さらに上級研修として5項目をあげています。また研修の実際としてスコットランドのアルツハイマー病協会の例を紹介しました。(社)家族の会の研修はこれらを満たしているとは言えない比較的簡単な内容ですが、愛知県支部が行っている電話相談の研修項目はこれに近い内容です。

この研修項目について簡単に解説しておきたいと思います。

電 話相談は電話さえあれば誰でも何処でも何時でもできる援助ですが、(社)家族の会などが公に広く行うことは社会的に受け入れられ評価されなければなりませ ん。このためには電話相談の基礎的な技術と知識の身につける研修は不可欠です。そのなかでもカウンセリングの基礎的知識と技術は最も重要な研修項目のひと つと言えます。聴くこと、問題を整理すること、そして解決への示唆を与えることをより適切に行うことを学びます。

介護者の心、認知症の人の心については(社)家族の会の相談員は介護経験者で、こうしたことについては正しく理解されていますが、経験を元にしながらこうした研修で深めることは有意義です。

電話相談の弱点は、多くの相談員が経験的に知っています。電話相談の利点と同時に弱点や限界を知っておきながら、それを少しでも少なくするような工夫が必要です。

ス コットランド・アルツハイマー病協会の研修の実際にある「一般的な質問と個別的な質問」とは、前者の例としてアルツハイマー病の治療薬であるアリセプトの 効果と副作用の質問などであり、後者の例としてアリセプトを処方されてもアルツハイマー病の人が服用しないのはどう対応したらよいかの質問などです。

相 談の内容によってはより詳しい情報を把握・紹介している書籍、ホームページ、団体を紹介することがよいことも少なくありませんが、電話相談としても多くの 正確な「情報源」をもっておきたい。個々の情報の詳しい内容は知らなくともと情報源の概要だけでよいでしょう。また具体的に介護保険であればケアマネー ジャーに紹介したり、法律関係でれば弁護士に紹介するなど電話相談の限界を知りながら、相談員は自ら問題を抱え込まないように、相談者へよりよい援助のた めに「他への紹介」はすすんで行うべきでしょう。

「相 談記録の取り方」については、(社)家族の会の電話相談でも課題の一つです。電話相談になぜ記録が必要か、その目的や意義は考えておかなければなりませ ん。相談員にとっては、相談の質向上のために自己点検や他の相談員との話し合い材料として必要でしょう。また相談者のなかには何度も相談する人があり、相 談の積み重ねのために記録は有効です。また(社)家族の会では相談の記録を集計にも利用しています。しかし実際の相談の場では記録を取りながらの相談は容 易ではなく、メモとして残し後から記録を清書していることが多い。このため時に記録が不正確になる恐れもあります。電話相談に集中することと記録を取るこ ととはバランスが難しく、相談記録用紙も相談員が使いやすいものに適宜改善されなければなりません。

「不 適切な内容の相談と困難な相談」の「不適切な相談」とは本来の電話相談とは関係ない相談のことです。いわゆる「いたずら電話」もその一例です。「困難な相 談」とは、問題が極めて深刻で簡単には解決方法が見つからない相談のことで、こうした相談は複数の相談員間での話し合いのなかから対応を決めてゆくのがよ いでしょう。

「相 談を終える方法」については、どの相談員も長時間の電話をどのように終らせるか戸惑うことが少なくありません。介護経験を長く話し込む相談、同じ事を繰り 返す相談、解決の糸口も見つからない堂々巡りする相談などをどのように終らせるかは、電話相談をより多くの人に有効に利用してもらうためにも必要が技術と 言えます。終わらせる一例として「他の相談が入りましたのでここで終らせていただきます」と言わなければならないこともあるでしょう。しかし忘れてはなら にことは、電話相談は継続した支援であり、最後に「何か相談することがありましたら遠慮なく電話ください」と結んでおくことです。

(社)家族の会では実際の電話相談の実地研修を行ってはいませんが、実際の相談を通して相談員同志が指摘し合ったり教え合ったりして相談の質の向上に向けて日々努力しているところです。

付記:ホームページのアドレス

アルツハイマー病ヨーロッパ:www.alzheimer-europe.org

スコットランド・アルツハイマー病協会:www.alzscot.org